1994 Fiscal Year Annual Research Report
弘化3年の災害による領民層の疲弊-江戸以外の地域について
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06710200
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Research Institution | Akita University of Economics and Law |
Principal Investigator |
濱屋 雅軌 秋田経済法科大学, 法学部, 助教授 (70240976)
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Keywords | 大名 / 損耗 / 情報 / 幕府 / ビッドル来航 / 海防 / 藩財政 |
Research Abstract |
平成6年度科学研究費補助金による研究によって、次のことを新たに明らかにすることができた。 1.弘化3年において、関東以外の地域では、18人の大名(親藩が2人、譜代が11人、外様が5人)が、領地をおそった水害によって被害を受けた。 2.それら18人の大名は、次のとおりである。 (1),親藩 ・松平越前守慶永-福井藩主 ・松平隠岐守勝善-松山藩主 (2),譜代 ・相馬大膳大夫充胤-中村藩主 ・戸田采女正氏正-大垣藩主 ・阿部能登守正備-白河藩主 ・遠藤但馬守胤緒-三上藩主 ・安藤対馬守信由-平藩主 ・堀田摂津守正衛-佐野藩主 ・小笠原相模守長貴-勝山藩主 ・間部下総守詮勝-鯖江藩主 ・西尾豊後守忠受-横須賀藩主 ・稲葉丹後守正誼-淀藩主 ・酒井雅楽頭忠宝-姫路藩主 (3),外様 有馬日向守温純-丸岡藩主 ・京極甲斐守高行-豊岡藩主 ・伊達遠江守宗城-宇和島藩主 ・加藤遠江守泰幹-大洲藩主 ・中川修理大夫久昭-岡藩主 3.それらの被害-とくに損耗-についての情報の欠落によって、これらの大名に不安が生じた。 4.当時、幕藩領主の間の文書による情報網が存在し、その情報網を通って、水害に関する被害とともに上記3のような不安が、大名から幕府に報告・表明されていた。 5.これらの大名のうち、弘化3年のビッドル来航時に海防に当たった大名と、弘化3年の水害との関係は、次のようなものであった。 西尾隠岐守忠受(横須賀藩主)の遠江国の領地が水害を受け、田畑が被害を受けたのである。 6.西尾忠受にとって領内での水害は、ビッドル来航による海防支出と同様に藩財政を悪化させる要因であったことは、否定できないであろうと思われる。
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Research Products
(1 results)