1994 Fiscal Year Annual Research Report
「『日本書紀』の文書ファイル化による日本古代政治史研究」
Project/Area Number |
06710202
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
倉本 一宏 関東学院大学, 文学部, 助教授 (80215053)
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Keywords | 日本書紀 / 六国史 / 日本古代史 |
Research Abstract |
本研究においては、『日本書紀』全文の文書ファイル化という、これまで全く行なわれていなかった研究環境を構築することによって、『日本書記』の本文研究、およびそれを利用することによる律令制成立期の政治史研究に発展をもたらすための基礎を築き、ワープロソフトの検索・置換・選択・並べ換え機能を活用することによって、律令制成立期の政治制度史を再構築することを目的とした。そして、活字で印字された『日本書紀』本文をイメージスキャナで画像撮影し、日本語認識ソフトによって一字ずつ文字判定して、MS-DOSのテキストファイルに変換し、次いでそれをパソコンのワープロソフトに取り込み、文書ファイルとするという研究方法を予定していた。当初採用を予定していた日本語認識ソフト「採字帳」は画像撮影した文字に対して、一字ずつ学習を加えて、字引を作成してやらなければ、文字として認識することがないので、はるかに認識率の優秀な「OCR事始」にソフトを変更した。これは新聞程度の活字ならば、90%以上の認識率を示すはずであった。ところが、旧字体がほとんどで、しかも訓点等が多い『日本書紀』本文の認識率は、きわめて低いものであった(おおむね二、三割程度)。そこで本研究では、結局大量の研究補助者を動員し、一字一句を訂正したうえで、何度も見直しをすることになってしまった。本年度中に継体紀以降の入力を行なう予定であったが、実際はその半分、孝徳紀以降しか入力できなかった(それでも日本古典文学大系本にして267ページに上る)。 ワープロ・ソフトに含まれている検索・置換・選択・並べ換え機能を活用することによって、『日本書紀』編纂過程や編纂者の特色を抽出し、律令制成立期の政治制度史を再構築する作業は、孝徳紀以降に限った上で現在進行中であるが、古代国際関係については、その途上で新知見を得、論文を一本執筆することができた。
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