1994 Fiscal Year Annual Research Report
ジェイムス・ジョイスのテクストの電子テクスト化およびハイパーテクスト化
Project/Area Number |
06710278
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土永 孝 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (70197713)
|
Keywords | James Joyce / ハイパーテクスト / 電子テクスト / World Wide Web / Internet |
Research Abstract |
本年度の研究期間内で、Joyceのテクストのハイパーテクスト化を実現するために必要な環境整備を何とか終えることができた。 まず、ワークステーションを運用できるようにするのにかなりの時間と労力がかかった。X-Window環境を実現し、World Wide Web(WWW)ブラウザ、Mosaicを使えるようにした。ついで、ハイパーテクスト記述言語HTMLを使ってデータを作成するために、エディタ、Muleをインストール、さらに、作成したデータを公開するために必要なWWWサーバとしてNCSA httpdをインストールし、これで当初の研究目標を達成するための環境が一応整った。アルバイトを使ってJoyceの"The sisters"のテクスト、および関連文書の入力も行ない、現在はこの材料をもとにしてハイパーテクストを構築する作業が進行中である。 この1年間に日本でもInternetに対する関心が爆発的に増大したが、この状況の中で、自力でWWWサーバを構築し、Internetの世界を体験することができたおかげで、見えてきた事柄がいくつかある。一つはWWWにおける著作権の問題である。ハイパーテクストに他人の論文や注釈などを組み込むことは著作権の侵害になりうる。この問題が解決されるまでは、WWWサーバへのアクセスを制限することにより、Joyceのハイパーテクストを私的な実験のレベルに留める必要があると私は考える。 もう一つは、文学研究にとってのWWWの可能性である。いったん環境を整備すれば、自分の論文などをWWW上で公開することができる。これには難点がないわけではないが、高騰する出版費用などの問題に悩まされている研究者にとっては大きな武器となりうる。ただ、環境整備を研究者が自分で行なうのには過大な負担がかかるのも事実であり、専従のコンピュータシステム管理者の必要性を痛感させられた。
|