1994 Fiscal Year Annual Research Report
法政策の評価軸を踏まえた都市の法システムが土地利用更新に及ぼす効果の分析
Project/Area Number |
06720005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福井 秀夫 東京工業大学, 工学部・社会工学科, 助教授 (60251633)
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Keywords | 借地借家法 / 正当事由 / 継続賃料 / 法と経済学 |
Research Abstract |
都市の法システム、特に借地借家法が、住宅・土地市場に与えている影響を中心に調査分析を行った。具体的には、1992年に改正された借地借家法の前後を通じて、正当事由制度及び賃料改訂ルールには変化がないことを論証したうえで、これらに関する主要な判例を網羅的に調査した。この結果、正当事由の判断はきわめて個別性が強く、法則性を判例から読み取ることができないこと、立退料についても具体的な金額の予測は困難であること、賃料改訂の特約は実質的には意味をもたないこと、裁判所による継続賃料の判断は常に市場賃料よりも抑制されること等が明らかとなった。これらを踏まえて、賃手の供給行動が強く抑制されることにより、賃貸市場の縮小、持家市場の肥大化が生じているとの仮説を提示し、データ、モデル等により具体的にこれを論証した。 また、改正借地借家法により創設された定期借地権制度についても、土地利用更新、住宅・土地市場の流動化に対してどのような効果を果たすこととなるか、又の際の留意事項は何かについて論じ明らかにした。
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[Publications] 福井秀夫: "住環境・都市基盤整備のパラダイム" 鉄鋼界. 44-3. 24-32 (1994)
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[Publications] 福井秀夫: "定期借地の法と経済分析" 税務経理. 7605、6合併号. 2-8 (1994)
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[Publications] 福井秀夫: "住宅政策のパラダイム転換" コミュニケーションレポート西暦2千年に向けた「住宅政策の新展開」. 85. 36-45 (1994)
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[Publications] 八田達夫、編: "東京問題の経済学,分担執筆「借地借家の法と経済分析」" 東大出版会, 260,(38) (1995)