1994 Fiscal Year Annual Research Report
政府業務統計のデータベースとその情報管理に関する研究
Project/Area Number |
06730011
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岡部 純一 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (70204013)
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Keywords | 政府業務統計 / データベース / 部外秘 / 守秘義務 / 官僚制度 |
Research Abstract |
1、行政が保有する業務統計のデータベースの枠組は、行政機関の無数の窓口で同一規格で入力されるデータの様式(記載項目と回答方法等)を調査すれば推定できる。この推定法は情報処理システムの発達に伴って益々有効性を発揮する。 2、非公開の業務統計には、根拠明確な部外秘データ以外に、必しも部外秘でないのに非公開な状態にある中間的データ群が膨大に存在する。このデータ群の取扱い方は、行政当局者の立場の違いに応じてまちまちであり、部外者のアクセスも不可能でない。 3、行政の多様な守秘義務のうち、 1)行政自身が公けにできる守秘義務は以下のごとし、(1)個人のプライバシーや法人の「部外秘」が明確に犯される危険性がある場合(例えば職安、労働保険関係の個票データ等)。(2)業務内容の公開が即、行政自身の業務執行妨害となる場合(例えば労働基準監督関係の業務統計等)。 2)それに対して、行政自身が公けにできない守秘義務があって、それが、非公開だが部外秘でない中間的データ群の主な存在理由となっている。すなわち、(1)行政の義務は常に合理的とは限らない。矛盾する諸権利・諸権力との妥協によって不合理に混乱したデータの公開は、行政の権威を傷つける。(2)行政の業務統計は、「データ」であると同時に実績値でもある。例えば大蔵省との予算折衝では有力な武器に変わる。逆に実績値の不用意な公表は、各行政機関の組織利害に反することがある。 4、行政が公けにできない守秘義務に絶えずとらわれているということは、行政の官僚制度がM.ウェーバー流の純粋合理的な制度ではなく、むしろ部分的に不合理な要素をかかえている証拠である。こうした、官僚制度の基本性格と業務統計へのアクセスとを切り離して論じるわけにはいかない。 5、今後、以上の考察を労働行政以外の行政部門の業務統計に広げて比較対照すると同時に、官僚制度と業務統計に関する内外の研究史を丹念にフォローする計画である。
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