1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06740213
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 正吾 横浜国立大学, 教育学部, 助手 (50212098)
|
Keywords | CR-39 / X線フィルム / 気球 / 超重粒子 / 超重物質 / ストレンジマタ- / テクニカラーマタ- |
Research Abstract |
宇宙創成時直後の超高温・超高密度状態等に生成され、現在まで生き残っているかもしれない安定な超重粒子を気球高度で探索した。測定器は、面積が約0.4m^2 のCR-39プラスチック飛跡検出器を4層に重ね、その第2、3層間にスクリーン型X線フィルムを2層挿入して重ね合わせたもので、宇宙科学研究所の三陸大気球観測所から'94年6月1日朝に放球された気球に搭載されて、上空33kmの高度で約11時間露曝された。 解析は以下の手順で行った。 1、CR-39とX線フィルムは露曝後、それぞれ、神岡鉱山と東大宇宙線研究所において現像を行なった。その後、パーソナルコンピュータとイメージスキャナを用いて、それらの透過画像を縦横400dpiの解像度でグレーレベルの画像ファイルとして取り込んだ。 2、CR-39の画像について、コンピュータ上で飛跡を自動的に認識し、位置などの情報を計算した。 3、CR-39の4層に見つかった飛跡の様々な組み合わせについて、それらの相対位置から、貫通した超重粒子によると考えられる一直線上に並んだ飛跡の組を選び出して軌道を求めた。 4、CR-39の飛跡から決定した軌道に対し、X線フィルム上に対応する飛跡があるか否かを調べた。 現在までに全測定器の1/8の解析を終了したが、これまでに、CR-39のみに飛跡の存在する現象は見つかっていない。このことから、質量が10^9〜10^<11>GeV/c^2で、β〜10^<-4>という太陽系に重力で束縛されている飛程の短いストレンジマタ-やテクニカラーマタ-等の超重物質の流束について、6.6×10^<-8>cm^<-2>s^<-1>sr^<-1>(90%C.L.)というこれまでで最も厳しい流束の上限値を得て、国際学術雑誌に投稿準備中である。
|