1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06740326
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
瀬戸 秀紀 広島大学, 総合科学部, 助手 (60216546)
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Keywords | マイクロエマルジョン / 臨界現象 / 中性子小角散乱 / クロスオーバー / 高圧 |
Research Abstract |
マイクロエマルジョンの試料としては、室温で“water-in-oil構造"(界面活性剤にコートされた水のdropletが浮かぶ構造)となるD_2O,n-decane,AOT(dioctyl sulfosuccinate sodium salt)をoil-richで混合したものを用いた。この系は温度を40℃付近に上昇させるとdroplet-richな相とdroplet-poorな相の2相に分離すること、及びこの相分離に伴って臨界現象が見られることが知られている。中性子小角散乱により臨界散乱の温度及び圧力変化を調べることにより、droplet間相互作用の大きさに関する情報を得ることができる。また、中性子小角散乱プロファイルをGuinier近似と比較することにより、dropletの慣性半径を求めることができる。 以上のように中性子小角散乱を用いてマイクロエマルジョンの相分離に伴う臨界現象と構造形成要因を明らかにするため、温度、圧力をともに精密に変化させることのできるサンプルセルを設計、製作した。(なお実験計画ではx線小角散乱用高圧セルも製作する予定であったが、窓材の関係で2つの光源に対して同じセルを用いることは難しいこと、2種類のセルを作ることは資金的に困難であることを考え、中性子小角散乱用のみを製作した。)高圧力セルの設計、製作に9カ月必要だったことと、中性子小角散乱のマシンタイムとの関係から本年度中の圧力、温度変化実験ができなかったので、その予備実験として次のような3種類の実験を行った。 (1)常圧用セルを用いた精密温度制御下での中性子小角散乱実験 (2)高圧セルと精密温度コントローラーを組み合わせた温度制御テスト (3)高圧セルに試料を入れた場合の常温常圧における中性子小角散乱実験 以上のような実験により、次のような点が明らかになった。 (1)dropletの慣性半径は温度上昇とともに単調に減少し、転移点直上でdrasticに変化する。また、臨界現象では平均場的振舞いからIsing的振舞いへのcrossoverが見られた。 高圧セルを用いた場合でも±0.01K以内で温度制御可能であり、臨界現象のためには十分であることがわかった。 (3)高圧セルのみのλ=7Åの冷中性子のtransmissionが80.1%であり、かつbackground levelがそれほど高くないことがわかった。これより、高圧力下での中性子小角散乱実験が可能であることが確認できた。
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Research Products
(1 results)