1994 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴外力下の振動子系における界面の構造とその運動の実験的研究
Project/Area Number |
06740329
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
那須野 悟 九州工業大学, 工学部, 講師 (90228073)
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Keywords | Ising-Bloch転移 / 界面 / ウォール / 双安定 / 非線形 / 対称性の破れ / パターン・ダイナミクス / 引き込み |
Research Abstract |
界面は双安定な系であれば、ポテンシャル系、非ポテンシャル系のいずれでも見ることができるが、その動的特性に着目したとき両者の間に大きな違いがあることが近年の理論的研究によって次第に明らかになってきている。すなわち一般にポテンシャル系では界面の運動は緩和的な比較的単純な運動様式を取るのに対して、非ポテンシャル系のそれはたとえ単一界面であっても条件によって静止・伝搬運動あるいは振動運動とじつに多彩な運動様式を示し得ることがわかってきた。しかし、これまでそれらの理論的予測を確認するのに適当な実験系がなかった。本研究では、特殊な境界条件を課した液晶対流系を用いることで非ポテンシャル系における理論的予測と比較可能な物理系を提案し、その振る舞いに関して基礎的な実験研究を行うことに成功した。以下に主な結果をまとめる。:1.特殊なエッチングを施した液晶セルを用いることで準1次元的な液晶対流系を実現し、この系に生じる振動現象が1次元的に結合したリミットサイクル振動子集団によって非常によくモデル化されることを示した。2.さらに、この系に、その自然振動数のほぼ整数倍の振動数をもつ共鳴外力を印加することにより振動の「引き込み」が生じることを示した。とくに、自然振動数のほぼ2倍の共鳴外力を印加することにより系は双安定となり、系内に界面が生じることが確認された。3.また、この界面は、パラメータに応じて静止状態と運動状態の両方を取り、それらの間に転移現象が存在することも確認した。4.以上の結果により、準1次元的液晶対流系は非ポテンシャル系の界面運動の理論的研究に用いられている共鳴外力下の1次元リミットサイクル振動子モデル系を実現する理想的実験系であることが確認された。 現在、さらにこの系の界面の運動とその内部構造の関係を明らかにするための詳細な研究が進行中である。
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