1994 Fiscal Year Annual Research Report
時分割誘電測定による結晶化・融解過程における高分子鎖ダイナミクスのその場観察
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06740342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 京都大学, 総合人間学部, 助手 (50189908)
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Keywords | 結晶化 / 高分子鎖ダイナミクス / 時分割誘電測定 |
Research Abstract |
ポリエチレンテレフタレート(PET)は結晶化条件に応じてα-緩和の挙動が大きく変化することが知られている。本研究ではメルトクェンチにより作成した非晶PETをガラス転移温度以上に保持し、結晶化の初期から結晶化が完全に終了するまでの間の誘電緩和挙動と構造形成についての関係を調べた。先ず、油圧プレスを用いて、約290℃で数分間融解後、氷水で急冷することによりフィルム状のアモルファスサンプルを得、これに電極としてAuを蒸着し、誘電測定用のサンプルとした。誘電測定にはLCRメータHP4284A(20Hz-1MHz)とインピーダンスアナライザ ソ-ラトロン 1260(10^<-2>Hz-10^2Hz)を用いた。室温から86℃へ昇温した後、この温度で等温結晶化させたPETの誘電損失∈"の周波数依存性を結晶化時間をパラメータとして測定した。ここで結晶化時刻の原点はサンプルの温度が86℃となった時刻を用いた。t【less than or equal】10^3(min)までの時刻では∈"の周波数依存性にはほとんど変化は見られない。その後、∈"のピーク位置は少し高周波側へ移動した後、t【greater than or equal】2x10^3から低周波側へ大きく移動し始める。さらに、Havriliak-Negami式を用いて求めた緩和時間γ_0の結晶化時間に対する変化も、これと同様の傾向を示した。このことから非晶PETは結晶化初期に,よりmobileな状態を経た後、結晶相からの拘束を受けた非晶へと変化すると考えられる。このようにPETの分子鎖のダイナミクスの変化と構造形成の関連が明らかになった。今後は、融解過程での同様の測定、および、誘電測定と小角X線散乱の同時測定により、この関連について詳細に議論したい。
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Research Products
(1 results)