1994 Fiscal Year Annual Research Report
CM及びCRコンドライトの受けた変質作用についての電子顕微鏡岩石学的研究
Project/Area Number |
06740408
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野口 高明 茨城大学, 理学部, 助手 (40222195)
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Keywords | CMコンドライト / CRコンドライト / TEM / EPMA |
Research Abstract |
本年度は、CRコンドライトの変質について研究を行った。CRコンドライトの一種であるPCA91082隕石を用いて、母天体における変質過程によって形成されたフィロ珪酸塩鉱物の組織と組成をSEM及びEPMAを用いて詳細に観察・分析を行った。CRコンドライトの全般的な記載はWeisberg et al.(1991)に詳しいが、今回研究を行ったPCA91082は、その論文で研究されたどのCRコンドライトよりもコンドリュールの変質の程度は低かった。コンドリュールの変質はコンドリュール周囲の3〜40μmに限られ、コンドリュールガラス、Caに乏しい輝石、Fe-Ni金属粒子が変質していることが観察された。EPMAの分析結果から推定するとCaに乏しい輝石は、Feに富むserpentineを主体とするフィロ珪酸塩鉱物の集合体に置き換えらている。それに対してコンドリュールガラスは、saponiteとFeに富むserpentineを主体とするフィロ珪酸塩鉱物の集合体に置き換えられている。これらのフィロ珪酸塩鉱物の集合体の組成は、より変質の進んでいるほかのCRコンドライトと比較してよりFeに富む。今後、変質の程度の進んだほかのCRコンドライトのいくつかについて研究する事で、フィロ珪酸塩鉱物の組成・種類と変質の程度とどの様に関係してくるのかということを明らかにしたい。 TEMを用いた研究であるが、ultramicrotomeを用いた超薄切片法を用いる計画であった。しかし、本学分析センターに導入されたultramicrotomeには防震台が付属していなかったため、とりあえず従来から行われているion milling装置を使い試料を作成した。こうして作成した試料では、saponiteが分解しかかってしまうので、十分な観察が出来なかった。ごく最近、防震台ではないが、天秤台をultramicrotomeの台として入手したので、今後、超薄切片試料を作成できるであろう。
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Research Products
(1 results)