1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06740456
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
仁部 芳則 福岡大学, 理学部, 助手 (50198537)
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Keywords | りん光 / ピラジン / ジェット / ベンゾフェノン / アクリドン / キサントン / 放電 / 極低温気体 |
Research Abstract |
まず、芳香族化合物で唯一超音速自由噴流中において分散リン光スペクトルが観測されているピラジンについて観測した結果、レーザー励起によるスペクトルに比べて10倍ほど分解能が向上し、この方法により非常に冷えた三重項状態を有効に生成できることが確認された。 さらにこの方法を大振幅振動を持つベンゾフェノンに応用した。この分子は電子スペクトルにおいて、フェニル基のねじれ振動が強く観測され、励起状態の振動数はよく研究されている。しかし基底状態については観測が非常に難しく、ほぼ57cm^<-1>と推測されていたが、今回の測定で初めて62cm^<-1>と決定され、基底状態でも非常に調和的なポテンシャルであることが観測された。 以前のベンゾフェノンの実験結果とあわせるとS_0、S_1、T_1状態の振動数はそれぞれ63、62、68cm^<-1>と求まり、T_1状態の振動数が最も振動数が高く、一重項状態の振動数はほとんど同じである。しかし、基底状態から各電子励起におけるプログレッションの解析結果はT_1状態より、S_1状態がより大きく構造変化していると結論される。ベンゾフェノンは基底状態に置いて、2つのフェニル平面がねじれた非平面構造を取っており、電子励起によってπ電子の共役が強くなり、それに伴って振動数は大きくなると考えられる。さらに構造変化も振動数と同様、π電子の共役が強くなれば、より大きく変化して平面構造に近づくと考えられる。しかし、結果は振動数変化と分子構造の変化は対応しておらず、ねじれの振動数が単純にπ電子の共役だけでは説明つかないと結論される。 またアントロン、キサントン、9(10H)アクリドンについても同様の実験を行いこれらの分子が三重項状態に電子励起された場合の分子構造の変化、及びこれらの基底状態及び最低三重項状態における分子構造についての知見を得た。
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