1994 Fiscal Year Annual Research Report
非共鳴超高速六光波混合法による水素結合性液体の微視的ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
06740462
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
富永 圭介 岡崎国立共同研究機構, 分子化学研究所, 助手 (30202203)
|
Keywords | 非線形分光法 / 振動緩和 / 均一・不均一効果 / 水素結合性液体 / 超高速分光法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超高速レーザーを用いた六光波混合の実験により液体の五次の非線形応答を観測し分子間低周波振動モードの位相緩和における均一と不均一効果を見分ける分光法を確立し、さらにこの分光法を水素結合などによる会合性液体に応用し液体分子の微視的ダイナミクスを調べることにある。本年度は、まずラマン活性の強いCS_2を用いて五次の非線形応答を観測するための六光波混合の検出系を製作し、時間分解-波長性二次元ラマン分光法を確立した。この実験で世界で初めて異なる五発の光を用いて六光波混合のシグナルを観測することに成功した。理論的には二次元ラマンのTanimuraとMukamelの理論を一般化し、均一と不均一効果の両方が存在する場合におけるシグナルを計算する方法を確立した。この理論的取扱いを用いてCS_2のデータを解釈した結果、CS_2の低周波モードに寄与する不均一幅を2.5ps^<-1>と見積もった。この値は従来三次の方法で見積もられていた値より小さく、五次の分光法の有効性を示した。次に、CS_2と水素結合性液体であるメタノールとの混合液体について同様の実験を行ったところ、混合液体では不均一性が小さくなることを見いだした。さらに重水素化されたメタノールでも同様の結果が得られた。これは混合液体について一般に考えられていることとは逆の結果であり、異種の液体分子間の分子間力や微視的挙動に関して興味ある結果が得られた。本年度、この研究に関して二つの国際学会に招待され、J.Raman Spec.のSpecial Issueに招待原稿を依頼された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Tominaga,and K.Yoshihara: "Fifth Order Optical Response of Liguid CS_2 Observed by Ultrofast Non-Resonaut Six-Wave mixing." Phys.Rev.Lett.(発表予定).
-
[Publications] K.Tominaga,G.P.Keogh,Y-Naitoh,and K.Yoshihara: "Tomporally Two-Dimcnsional Raman Spectroscopy of Liguids by Six-Wave miying with Ultrashort Pulses." Journal of Raman Spectroscopy. (発表予定).