1994 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル錯体触媒による芳香族およびビニルトリフラートの還元に関する研究
Project/Area Number |
06740482
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 健 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (20205842)
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Keywords | ニッケル錯体 / 芳香族トリフラート / 還元 / 触媒 |
Research Abstract |
ニッケル錯体触媒および亜鉛による芳香族トリフラートの炭化水素への還元反応について各種のアルコール類または水を水素源の用いて詳細に検討した.触媒に対して10倍量のp-トリルトルフラートのトルエンへの還元反応を20%メタノール/DMF混合溶媒系で各種の配位子について検討したところ,PPh_3よりも2座配位子,特にジフェニルフホスフィノプロパン(DPPP)を用いると高い活性が認められ,さらにヨウ化カリウムを添加することにより室温で定量的に反応が進行した.水素源としてエタノール,イソプロパノール等を用いても同様の結果が得られ,また重水素化メタノール(CH_3OD)を用いることにより,選択的に芳香環の重水素化が可能であるとともにアルコールのOH水素が水素源として作用することが明らかとなった.水を水素源とした場合,水の使用量を基質と当モル量程度まで減らした場合のみ反応が進行したが,収率はメタノール系よりも若干低下する傾向が認められた.また,D_2Oを用いて重水素化反応を行ったところ目的の重水素化生成物の収率の低下が認められ,カップリングによるジフェニル誘導体の生成が顕著となり,反応に対する大きな重水素効果が見られた.各種の置換基を有する芳香族トリフラートの反応ではカルボキシレートのような電子吸引基を持つ場合,室温では反応せず,比較的高い温度が必要であった.また置換基上のカルボニル基,C-C二重結合などの還元は全く認められず,本反応系がトリフラート基の選択的還元のみを行うことが明らかとなった.このようにフェノール性水酸基の除去の方法として本反応系が一般的に用いることができることを明らかにすることが出来た.ついで本反応系を同様の反応が期待されるビニルトリフラートに対して適用したところ,芳香族系と同じく選択的にオレフィンの生成が認められ,カルボニル化合物からオレフィンへの新しい合成反応としての可能性を示した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Sasaki et al: "Selective Hydrogenation of Alkynes Catalyzed by Metallic Nickel and Modifier." Bull.Chem.Soc.Jpn.67. 1984-1996 (1994)
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[Publications] K.Sasaki et al: "Ortho-Phenylenezinc (II) Compounds. Ultrasound-Promoted synthesis from o-Diiodobenzene and Zinc Powder and Its Synthetic Application." Chemistry Lertters,. 2055-2058 (1994)