1994 Fiscal Year Annual Research Report
α-フルオロカルボカチオンの環化反応による多官能性シクロアルケンの位置選択的合成
Project/Area Number |
06740490
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 淳士 九州工業大学, 工学部, 助教授 (70184611)
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Keywords | 有機フッ素化合物 / カルボカチオン / 環化反応 / シクロアルケン / Nazarov環化 / Friedel-Crafts反応 / ルイス酸 / シクロペンタノイド |
Research Abstract |
フッ素は、フッ化物イオンとしての高い脱離能を有すると共に、カルボカチオンに対して α-カチオンの安定化効果と β-カチオンの不安定化効果を示す。このカチオンに対する性質を利用し、gem-ジフルオロビニルケトン(F_2C=C-C=0)にルイス酸を作用させることで、α-フルオロカルボカチオン(F_2C^+-C=C-O-M)を発生し、これを活性中間体とする Nazarov環化および分子内Friedel-Crafts反応により多官能性シクロアルケンの位置選択的合成を試みた。 発生するα-フルオロカルボカチオンを分子内のアルケニル基(Nazarov環化)あるいはアリール基(Friedel-Crafts反応)で効率よくトラップするため、これらの不飽和基を適切に配した 2,2-ジフルオロビニル=ビニル=ケトン1 および1-(2-アリールエチル)-2,2-ジフルオロビニル=ケトン=2を出発原料に選び、申請者が既に開発した手法を用いてトリフルオロエタノールより合成した。この1と2に対しルイス酸および反応条件を探索したところ、TMSOTfを作用させることでカルボニル酸素への配位により効果的にα-フルオロカルボカチオンを発生し、分子内環化反応が円滑に進行することを見出した。ここではこうしたカチオン環化において、ヘキサフルオロイソプロパノールの添加が極めて有効であることを明らかにした。1のNazarov環化の場合、環状電子反応によって得られるシクロペンテニルカチオンに対し、フッ素の β-カチオン不安定化効果と脱離能によって2つの二重結合の位置を完全に制御して導入し、一挙に交差共役型シクロペンテノンの骨格を構築することに成功した。さらに、残るビニル位フッ素を求核剤の付加-脱離によって置換し、抗生物質であるメチレノマイシン類縁体の一般的合成法を確立した。また2のFriedel-Crafts反応では、フッ素を分子内アリール基で置換した含フッ素ジヒドロナフタレンが効率よく得られることを見出した。
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Research Products
(1 results)