1994 Fiscal Year Annual Research Report
炭素陽イオン中間体を経る光フェニル転位反応機構の研究
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06740499
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
臼井 聡 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80185008)
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Keywords | 光加溶媒分解反応 / フェニル転移反応 / 求核置換反応 / 炭素陽イオン / α-クロロケトン / トリフルオロエタノール / フェニルプロピオン酸 / 置換基効果 |
Research Abstract |
光によりフェニル転移反応を示し、非アルカロイド系抗炎症剤合成の中間体となる2-Phenyl-propionic acidを与える2-Phenylpropiophenone(1)のフォトソルボリシス機構を2,2,2-Trifluoroethanol(TFE)中において検討した。1の無置換体の光反応生成物をHPLCならびに^1H-NMRで解析したところ、フェニル転移生成物(2)79.8%、求核置換反応性生成物(3)7.2%、脱離反応性生物(4)9.2%ならびにフェナシルラジカルの還元生成物(5,6)3.8%が得られた。本光反応の特徴は反応の定量性が高い事のみならず、一般のα-haloketoneのフォトソルボリシスとは異なりラジカル生成物が少なくイオン反応が選択的に進行している事にある。この結果は反応溶媒であるTFEの高極性に起因していると思われる。1のフォトソルボリシスにおける2および3の生成物比を種々の置換体について調べたところ、無置換体では0.091であった3/2比はm-CN体では0.0065、p-OMe体では0.92と、フェニル環への電子吸引性置換基の導入が2の生成を促進させることが明らかとなった。この結果は類似したフェニル転移-求核置換競争反応を示す3-Phenyl-2-butylbrosylateの熱反応が電子吸引性置換基により求核置換反応を促進させている事とは対照的であり、光フェニル転移反応の特異性を表すものである。またm-位に電子吸引性置換基を導入したp-OMe置換体においてもp-OMe体と同等の3/2比が、さらにm-OMe置換体では大きな3/2比12が得られており、本光反応のカルボカチオン生成過程においてベンゼン環から塩素原子への電子移動の重要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)