1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン配位子の大環状化による反応性遷移金属錯体の創製
Project/Area Number |
06740509
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
水田 勉 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70221603)
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Keywords | リン配位子 / 大環状配位子 / 遷移金属錯体 |
Research Abstract |
窒素を配位原子とした大環状配位子は、これまでに数多く合成されてきており、またこれらの遷移金属錯体も広く研究されてきている。しかし、これに対してリンを配位原子にもつ大環状配位子については、その合成例すら非常に少ないのが現状である。本研究では、大環状リン配位子の合成ルートの開発として、遷移金属を用いたメタルテンプレート反応による大環状化、及び非メタルテンプレート反応による大環状化について検討を行った。 [I]メタルテンプレート反応による大環状化 P-H結合をもつ2座配位子を金属イオンに配位させることによりHの酸性度を高め、これを塩基で引き抜き、生じたPアニオンにジハロゲン化アルキルを反応させて環化を行った。その結果、P-P間のCH_2鎖が2-3-2-3のものは、Ni^<2+>やPd^<2+>を中心金属とした場合に収率よく合成できることが分かった。また、合成した錯体にCN^-を反応させると、中心金属が脱離してリンの大環状配位子が得られることが明らかとなった。 [II]非メタルテンプレート反応による大環状化 (RO)_2PCH_2CH_2P(OR)_2とBrCH_2CH_2CH_2Brとを無溶媒で直接混合し、12時間還流することにより、一挙にリンを4原子含む大環状化合物を収率92%で合成できりことが明らかとなった。この化合物をLiAlH_4,CeCl_3で還元すると大環状リン配位子が合成できた。この方法により、今まで困難とされてきたリンを配位原子にもつ大環状配位子の合成ルートが開発できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsutomu Mizuta: "Highly efficient chromatographic optical resolution of fac-tris(β-alaninato)-cobalt(III) with an optically.active ob_3 isomer of tris(trans-1,2-diamino-・・・・" Chem.Lett.1. 101-104 (1994)
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[Publications] Hiroshi Nakazawa: "Reaction of acyl(phosphonato)palladium complexes,Pd(PMe_3)_2{C(O)R^′}-{P(O)(OR)_2},with an alkyl cation,yielding cationic phosphite complexes,and・・・・" Organometallics. 13. 941-946 (1994)