1994 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性カレックスアレン誘導体を用いた固体/液晶界面における分子間相互作用の検討
Project/Area Number |
06740526
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 ゆう子 東京工業大学, 資源化学研究所, 教務職員 (30218599)
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Keywords | カリックスアレン / 分子間相互作用 / 分子内エキシマー / 蛍光寿命測定 |
Research Abstract |
1.試料の合成 蛍光性官能基としてピレニル基を有するカリックスレゾルシノールアレン(CRA-Py-x、x=1-ピレニル基の数)を合成した。合成は、1-ピレニルプロパナ-ル、ブタナ-ル、レゾルシノールを原料とした一段階反応で行った後、水酸基をアセチル基で保護した。HPLCを用いて、生成したピレニル基を0〜4コ有するCRA-Py-xの割合が、1-ピレニルプロパナ-ル、ブタナ-ルの反応性を等しいと仮定して反応原料のモル比から計算したものと一致することを確認した。さらに、HPLCを用いてCRA-Py-xを分取した。 2.溶液中のCRA-Py-xの物性 溶液中でのピレニル基同士の分子内相互作用をCRA-Py-x(x=1〜4)について、紫外・可視吸収スペクトル、^1H-NMR、蛍光スペクトルおよび蛍光寿命測定から検討した。 CRA-Py-x(x=1〜4)で、^1H-NMRのピレニル基の化学シフトは大きく異なるが、紫外・可視吸収スペクトルは重なる。分子内のピレニル基同士は溶液中で数nmの距離に存在するものの、その基底状態での電子状態に影響を与えないことが分かった。 一方、励起状態では、CRA-Py-x(x=2〜4)の蛍光スペクトルで、モデル化合物の分子間エキシマーより短波長側に分子内エキシマー発光が観測され、分子間よりはエネルギー的に不安定なピレニル基同士の相互作用が分子内で存在することが確認された。また、蛍光寿命測定によって、CRA-Py-xでは対称性の高いエキシマーと対称性の低いエキシマーの2種類を生成し、後者の前者に対する比率はx=2、4、3の順で大きくなることが示唆された。 3.固体/液晶界面における分子間相互作用の検討 今後、保護基であるアセチル基をはずした後石英ガラスにCRAを吸着させて、液晶を挟み、固体/液晶界面における分子間相互作用を、2の物性を踏まえて検討する予定である。
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