1994 Fiscal Year Annual Research Report
分子線エピタキシ-法による有機超薄膜の作製と光電変換特性
Project/Area Number |
06740527
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星 肇 東京工業大学, 工学部, 助手 (20251621)
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Keywords | 分子線エピタキシ- / 有機超薄膜 |
Research Abstract |
本年度においてはまず新しく導入された分子線エピタキシ-(MBE)装置の基本性能の確認作業を行った。真空度は5×10^<-10>Torr 以下となり、超高真空の条件を達成した。次に、フタロシアニン化合物を蒸着源として用い薄膜の作製条件を検討した。特に、蒸着を長時間安定に続けられるように蒸着源の温度設定条件を調べた。それによりフタロシアニン薄膜の成長を数ミクロンの膜厚まで安定に行えるようになった。作製した薄膜の構造評価は電子顕微鏡による観察とともにX線回折法で行った。その結果、これまでに単結晶の成長ができなかった相が形成されていることを確認した。現在X線回折により格子定数と基板上での結晶の配向を決定すべく研究を行っている。また、薄膜構造を調べるために光第二高調波発生(SHG)の測定を行った。このSHGは無機の非線形結晶と同程度の強度を示すが、フタロシアニンのSHGは通常の電気双極子によるものではなく、さらに高次の効果により発生することが明らかとなった。これによればSHGで通常必要な条件とされる極性構造が不必要となるために興味深いものである。この高次効果のSHGの実験結果と解析について論文発表を行った。科学研究費は当初の予定通りに直流電源とエレクトロメータを設備備品として購入するために用いた。当研究室ではまず通常の真空蒸着器によりフタロシアニンの薄膜を作製し、電流-電圧特性の検討を行った。その結果、フタロシアニン薄膜の電気特性は、かなり周囲のガスの影響をうけることが分かった。そこでフタロシアニン固有の電気特性をできるだけ正確に求めるためにはMBE装置内でその場観察を行う必要がでてきた。現在その測定準備を進めている。
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