1994 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起系逆電子移動プロセスを利用した熱Cope転位の機構解明の研究
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06740544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 浩 東北大学, 理学部, 助手 (30211717)
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Keywords | Cope転位 / 逆電子移動 / 反応機構 / 光増感反応 / 電子移動反応 / カチオンラジカル / ビラジカル / 重水素同位体効果 |
Research Abstract |
本研究で最も重要な事柄は「カチオンラジカル環化-ビラジカル開裂機構」の鍵段階である光誘起系逆電子移動プロセスが光誘起系において発熱的に起こることを確立することである.そこで1と4に光音響測熱法を適用し中間体のイオンペアの実験的なエネルギー評価を行ない,その実験的根拠を初めて得た.尚,この光音響測熱法の遂行に関しては国際学術研究(05044212,06044014)の寄与も大きい.次に環状ジアゼン4a,bの電子移動反応を種々の条件下で行なった.その結果,4は光誘起電子移動条件でのみ定量的に1を与え,非光誘起電子移動条件ではプロトン脱離等のイオン反応を経てタ-フェニル,ビフェニル等が各々生成することがわかった.また,d_4-4の光反応ではd_4-1とd_4-1'の2種を与えたが,その生成比52:48は2における開環過程の速度同位体効果に対するDewarらの計算値と一致した.これらは,光増感電子移動Cope転位の開環過程がカチオンラジカル2^<+・>ではなくビラジカル2から起きている事を示す何よりの証拠で,上記機構の妥当性が示された.さらに光誘起系逆電子移動プロセスがモノフェニル置換1b,4bの系においても発現している事を確認した.さらに母体4cの光増感電子移動反応では著しい反応性の低下が見られ,4の脱窒素反応性に及ぼすフェニル基の置換効果についても検討を加えた. 本研究から導かれる結論は,1の熱Cope転位機構としてDewarらが主張する段階的ラジカル機構のうち,少なくとも開環過程は妥当である,ということである.今後はジエンの熱Cope転位そのものでビラジカル種2が生成しているか否かを見極める事が必要である.本研究では時間的制約上検討できなかった3の合成と反応を含め,これら残された問題を来年度以降の研究課題としたい.尚,研究進行状況と現有設備との関係から,設備備品としては液体クロマトグラフ用紫外検出器等を購入した.
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[Publications] H Ikeda,T.Minegishi and T.Miyashi: "Striking Contrast between Photoinduced and Non-photoinduced Electron-transfer Reactions of1,4-Dipheny1-2,3-diazabicyclo[2.2.2]oct-2-ene" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.297-298 (1994)