1994 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体共役因子CF1のヌクレオチド結合部位の不均一性の決定要因
Project/Area Number |
06740603
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
久堀 徹 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (40181094)
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Keywords | 葉緑体共役因子 / F_1-ATPase / 抗体 / TNP-ADP |
Research Abstract |
本研究では、葉緑体共役因子CF_1のヌクレオチド結合部位の不均一性を決定する要因を明かにすることを目的として次のような研究を行ない、以下の結果を得た。 (1)CF_1のマイナ-サブユニットに対する抗体の作成 温和なCF_1の抽出方法として、まず葉緑体チラコイド膜をピロリン酸で洗浄して膜表面のRuBPカルボキシラーゼを除去し、次に溶液のイオン強度を急激に変化させることでCF_1を得る方法^<1)>を用い、CF_1を構成する5つのサブユニットが全て揃ったCF_1を得た。この標品を電気泳動でそれぞれのサブユニットに分離した後に、それぞれの蛋白バンドを電気泳動によってゲルから溶出し、単一のサブユニット標品を得た。得られた各サブユニットそれぞれ10〜20μgをラットに対して免疫し、それぞれの抗体を作成した。 γ、δサブユニットに対する抗体は、何れもβサブユニットと交差したので、単離βサブユニットを用いて、βと交差する成分を吸収した。抗ε抗体については、現在作成中である。 (2)CF_1サブユニット間の架橋の試み 昨年夏、イギリスのJ.WalkerらがミトコンドリアF_1の主要部分の分子構造をX線結晶解析によって明かにした^<2)>。その結果、我々が当初予想したとおり、基質の結合状態とγサブユニットのβサブユニットに対する相対的な位置に関連があり、酵素分子が不均一な状態にあることが明らかにされた。 CF_1基質アナログであるTNP-ADPを用いて光親和性標識した場合、α・β両サブユニットが標識されることは既に報告した^<3)>が、一般に非触媒部位に結合すると報告されているピロリン酸を拮抗阻害剤として用いることにより、両サブユニットへの結合を分離することに成功した。現在、この標品についてサブユニット間の架橋を試みている。 1)Strotmann,H.,et al.Biochim.Biophys.Acta(1973)314, 202-210 2)Abrahams,J.P.et al.Nature(1994)370,621-628 3)Hisabori,T.,et al.J.Biochem.(1993)114,324-328
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