1994 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム突然変異法によるD1タンパク質プロセッシング酵素の構造と機能と解析
Project/Area Number |
06740611
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
稲垣 言要 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50221776)
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Keywords | 光合成 / 光化学系2 / D1タンパク質 / プロテアーゼ / C末端切断 |
Research Abstract |
私は、ホウレンソウ緑葉より光化学系IIのD1タンパク質前駆体のプロセッシング酵素を高度に精製する手法を確立してきた。この科学研究費の援助によって、私は、この酵素の構造機能相関を分子生物学的手法で解明することをめざした。まず、精製された本酵素の部分アミノ酸配列を決定し、その結果をもとに、ホウレンソウ緑葉cDNAライブラリーから本酵素のcDNAクローンを単離し、その塩基配列を明らかにした。この配列から推定されるアミノ酸配列について相同性献索を行ったところ、興味深いことに、非光合成生物である大腸菌とバルトネラに見いだされたC末端近傍特異的エンドペプチダーゼと相同性があることが示された。このことは、これらのプロテアーゼが、同じ起源遺伝子により分枝した同じ反応機構のグループに属する可能性があることに加え、プロテアーゼの機能発現に重要な残基が、配列の比較によって推定できることを示唆している。これらの配列の中で相同性が特に高い領域はクラスターを形成しており、この中の2カ所のセリン、1カ所のアスパラギン酸、1カ所のグルタミン酸が、ホウレンソウを含む今まで知られている5種のC末端プロテアーゼにおいて完全に保存されていた。この残基を中心に、アミノ酸残基置換体を分子生物学的手法で作製し、酵素学的解析を行うことで本奨励研究の目的は達成されると考えた。そこで、ホウレンソウの酵素遺伝子と新たにクローニングしたランソウSynechococcus sp.PCC7002の酵素遺伝子を大腸菌発現ベクターに組み込み、大腸菌中での活性型酵素として発現する系を確立し、現在、その系で変異酵素を生産するため、ベクター中の酵素遺伝子に上記変異を導入中である。 以上の1年間の研究によって「本酵素の精製法」と「本酵素の遺伝子配列とそれにより導かれる考察」について論文を執筆中である。
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