1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06740619
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
森安 裕二 静岡県立大学, 国際関係学部, 助手 (20200454)
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Keywords | 自食作用 / 液胞 / リソソーム / プロテアーゼ / 自己分解 / タバコ / 培養細胞 |
Research Abstract |
タバコ培養細胞(BY 2)を材料に用いて、植物の自食作用の解析を目的とした研究を行った。本研究費交付以前に行った予備実験と交付後約1年間で行った実験とにより、次のようなことがわかった。 1.ショ糖を含むムラシゲ・スク-グ培地で培養していたタバコ培養細胞を、ショ糖を含まない培地に移して培養を続ける(炭素源飢餓処理)と、2日間で細胞内タンパク質の約40%が分解された。2.SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によりタンパク質組成の変化を分析した結果、炭素源飢餓処理によるタンパク質分解は非特異的におこっていることがわかった。3.さらに、炭素源飢餓処理により、細胞内プロテアーゼ活性が約7倍に上昇することがわかった。4.しかし、飢餓処理とともに、細胞をシステインプロテアーゼ阻害剤で処理すると、細胞内タンパク質分解と細胞内プロテアーゼ活性の上昇とはともに阻害された。 5.光学顕微鏡を用いて細胞の形態変化を観察すると、飢餓処理にともない、transvacuolar strandsの減少が見られた。6.細胞をシステインプロテアーゼ阻害剤で処理すると、transvacuolar strandsの減少は変化せずに進行したが、細胞内に多数の顆粒が蓄積した。ここでは、この顆粒構造をspherical bodiesと呼ぶことにした。7.細胞をキナクリン染色することにより、spherical bodies内部は酸性であることがわかった。8.光学顕微鏡や電子顕微鏡レベルでの酵素細胞化学染色により、spherical bodiesにはリソソームのマーカー酵素である酸性ホスファターゼが存在することがわかった。以上の結果より、spherical bodiesは動物細胞におけるオートリソソームに相当するオルガネラであり、このオルガネラ内のシステインプロテアーゼが炭素源飢餓条件下でおこるタンパク質分解を主に担っていると結論した。
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