1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750017
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
横山 悦郎 山口大学, 工学部, 助教授 (40212302)
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Keywords | 結晶成長 / 界面の運動 / 拡散方程式 / 拡散過程 / 界面カイネティック過程 / 周期変動 / 数値解析 / 境界条件 |
Research Abstract |
天然にみられる結晶や実験室で結晶を育成した際、しばしば周期模様のパターンが形成される。それらは温度の周期変化や、不純物の影響等によって出来ると一般に信じられている。しかしながら、それは推測の域を出ず、例えば周期変化と出来るパターンの関係についての定量的研究は、大きく立ち後れていた。 本研究の目的は、系の周期的変動と形成される結晶パターンの関係を明らかにすることにあった。具体的には、結晶の成長を支配する方程式、すなわち時間に依存した拡散方程式を周期的変化する境界条件のもとで解き、界面の移動速度を求めた。ところで、結晶が成長する際の素過程は、成長単元(分子・原子)の結晶界面への補給過程または、成長単元が結晶化する際界面で発生する潜熱の熱伝導過程が重要であり、両過程とも拡散方程式を使って記述できる。研究の第一段階として、一次元モデルを使い、実際の成長条件に対応する遠方の境界条件を周期変動させ、界面の移動速度と形成される成長縞を数値解析的に求めた。ここで遠方の境界条件は系の非平衡度の大きさ(過冷却度または過飽和度)を与える。その結果、成長条件の周期変化の影響は、界面の移動速度に対して予想外に小さく、結晶パターンに僅かな周期模様しか形成されなかった。更にその影響は、時間とともに減衰することが分かった。すなわち数値的に調べた範囲では、共振現象のようなものは得られなかった。また、更に現実の結晶成長において重要な素過程である、界面において成長単元を結晶格子に取り込む過程(界面カイネティック過程)を考慮したモデルでも、周期模様の形成について調べてみた。この研究は現在進行中であるが、成長単元の取り込みやすさの目安であるカイネティック係数が、周期的に変化すると仮定すると大きな界面移動速度の振動が得られることが分かっている。今後、更に振動条件の定量的考察など必要である。 本研究の結果は、来年度8月の日本結晶成長学会で発表予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] E.Yokoyama and T.Kuroda: "Theoretical Study of Growth Patterns of Snow Crystals" Research of Pattern Formation,edtied by R.Takaki. 103-110 (1994)
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[Publications] 野村厚志,三池秀敏,横山悦郎: "動画像からの運動・拡散現象の検出" 電気学会論文誌C. 115-C. 403-409 (1995)