1994 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式に対する経時性質保存を保証する差分スキーム構成の研究
Project/Area Number |
06750068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
降旗 大介 東京大学, 工学部, 助手 (80242014)
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Keywords | 差分法 / 非線形偏微分方程式 / 数値的安定性 / Cahn-Hilliard方程式 / 保存量 |
Research Abstract |
本研究により、降旗は非線形偏微分方程式の導出過程を相当する離散数式で置き換えて差分スキームを構成することにより、エネルギー散逸や組成保存などの性質を差分スキームにおいて保証することに成功した。まだ制限は多いものの、この考え方を進めることで多くの問題に適用できるようになると期待される。 具体的には、微分、積分、変分といった連続関数にのみ適用できる操作を離散関数にも適用できるように離散化し、その相互関係を崩さないように定義することから始まる。この道具を用いて、本来の非線形偏微分方程式の導出過程の式変形をそのまま離散化するのである。こうすることで導出された離散非線形偏微分方程式はそのまま差分スキームであり、かつ、本来の偏微分方程式が持つ性質を基本的に受け継いでいるはずである。より正確には、問題の偏微分方程式の導出過程から導かれる性質は必ず受け継がれる。エネルギーの保存・散逸や、その他の保存量などはこうしたものが多いため、こうした点からも好都合である。また、エネルギーなどの量は目的関数の一種のノルムになっていることが多いため、こうした場合はエネルギーの保存・散逸を保証することはすなわち目的関数をノルムでおさえることを意味する。つまり、差分スキームの安定性も同時に保証されるのである。 さらに、本研究において、この差分スキームが実際にさまざまな量を保存しているのか、数値的に安定なのかなどを調べるため、大型計算機を使用して様々な数値実験を行なった。具体的には、Cahn-Hilliard方程式と呼ばれる非線形偏微分方程式を対象とした。これは数値計算上非常に不安定であり、数値的安定性を条件で示そうという本研究の実験対象としては非常に適したものである。結果としては、非常に満足のゆくものであった。本研究で提案した方法により、空間・時間ともに任意の離散化幅を用いて例外なく安定に数値計算ができ、その結果も他の方法の計算結果と同一と思われる結果であったため、精度的にも問題がないということが示された。 結論として、空間の次元数をあげるなどの課題は残されたものの、おおむね目的は達せられたといって良いだろうと思われる。
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Research Products
(1 results)