1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750087
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂本 二郎 金沢大学, 工学部, 助手 (20205769)
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Keywords | 最適設計 / 人工生命 / 発生システム / 遺伝的アルゴリズム / セルオートマトン / 適応骨再構築 |
Research Abstract |
1.発生システムによる概念設計の創造法の開発 発生システムを取り入れた概念設計法の開発にあたり,生体の骨組織において細胞が発生・分化し骨構造を周囲の環境に適応させ再構築していく現象に注目し,これを計算機上でシミュレートするアルゴリズムを作成した.ここでは,発生した骨再構築を司る骨芽細胞の活動を,人工生命システムの1つであるセルオートマトンを用いて表現し,発生してきた細胞が自律的に力学的環境に適応して骨組織を構築していくようにプログラムしている.これを力学的負荷を受ける骨構造の実際の問題に適用したところ,従来の数理的最適化の考え方では得ることが困難な,骨再構築が創造的に行われることを確認した. 2.遺伝的アルゴリズムによる発生システムの最適化法の開発 上記のアルゴリズムにおいてセルオートマトンが自律的に状態変化を行うためのルールを,記号情報として表現し,これを遺伝的アルゴリズムにより最適化することで,最適化を実行するシステムそのものの最適化を試みた.幾つかの数値実験の結果,記号化された自律規則を変化させることで,構造要素の力学的特性を有効に変化させることが可能であることを確認した. 3.創造的構造最適設計システムの開発と実用的問題への適用 以上の研究から得られた知見をもとに,人間の大腿骨骨頭部で行われている自律的適応再構築のシミュレーションを行い,実際の現象と比較してその有効性を確認した.また,遺伝的アルゴリズムを利用したトラス構造の形態設計手法の開発を行い,この手法に上記の創造的要素の組み込みが可能との確信を得ることができた.
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[Publications] Jiro Sakamoto: "Topological Optimization of Truss Structure Using GA with Biased Crossover" WCCM III Extended Abstracts. 2. 1092-1093 (1994)
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[Publications] 坂本二郎: "セルオートマトンによる骨再構築現象の再現" 第1回最適化シンポジウム講演論文集. 1. 29-34 (1994)
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[Publications] 坂本二郎: "骨形成に及ぼす力学的刺激の影響-理論モデルによる検討-" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15. 73-77 (1994)
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[Publications] 坂本二郎: "細胞の活性度を考慮した力学的骨再構築理論の一般化について" 日本機械学会第72期全国大会講演論文集. 5. 56-58 (1994)
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[Publications] 坂本二郎: "成長因子の輸送を考慮した力学的適応再構築のシミュレーション" 第4回バイオメカニクスカンファレンス講演論文集. 108-109 (1995)
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[Publications] Jiro Sakamoto: "Clinical Biomechanics and Related Research" Springer-Verlag Tokyo,Y.Hirasawa,C.B.Sledge,SL.-Y.Woo(Eds), 429 (1994)