1994 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス粉により自然傾斜機能化したアルミニウム基複合材料の開発と疲労強度評価
Project/Area Number |
06750103
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
水谷 淳之介 富山商船高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (70166015)
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Keywords | アルミニウム基複合材料 / 窒化アルミ粒子 / シリコンカーバイトウイスカ / 高温疲労強度 / 微小き裂 |
Research Abstract |
本研究ではA1N粒子分散強度化A1基複合材(以下A1N材と称する。)、SiCウイスカ強化6061合金(以下ウイスカ材と称する。)を対象として、高温における微小疲労亀裂の発生と伝播について詳細に調査するとともに、それらの特性を従来の代表的な耐熱アルミニウム合金であるAC8Aの特性と比較・検討し、亀裂伝播抵抗の向上化における複合化の有効性について調査した。また、個々の材料における微小亀裂と巨視亀裂の伝播における類似点および相違点についても検討した。 得られた結果を要約すると以下のようになる。 (1)A1N材およびウイスカ材の巨視疲労亀裂の伝播抵抗はAC8Aより大きい。従って、材料の複合化は巨視亀裂伝播抵抗の向上化に有効である。しかし、微小亀裂の伝播抵抗は、A1N材はもっとも大きいものの、ウイスカ材はもっとも小さい。すなわち、微小亀裂と巨視亀裂の相対的大小関係が異なっており、このことはこれら複合材における微小亀裂の調査の重要性を示している。 (2)(1)に示したA1N材およびウイスカ材の巨視亀裂伝播抵抗の向上化において、複合化による縦弾性係数の増加による寄与がもっとも大きく、亀裂の屈曲や亀裂閉口レベルの上昇、さらにはブリッジング等も副次的な向上効果をもたらしている。また、A1N材の巨視亀裂伝播抵抗の温度依存性は、主に縦弾性係数の温度依存性によるところが大きい。 (3)A1N材およびウイスカ材の微小亀裂は、強化相であるA1N粒子やSiCウイスカの密集した領域から発生する。従って、強化相の分散状態や大きさ、母材との結合状態などがこれら材料の疲労亀裂発生に重要な役割を果たしている。 (4)全ての材料において、亀裂発生直後の微小亀裂の伝播速度は巨視亀裂のそれよりも極めて大きい。従って、巨視亀裂の情報のみでこれらの複合材の健全評価を行うことは危険である。また、これらの材料のうちA1N材およびAC8Aにおいては、それぞれ固有の亀裂長さ以上になると、微小亀裂と巨視亀裂の伝播速度はほぼ一致したが、ウイスカ材の微小亀裂は常に巨視亀裂より大きな伝播速度を示した。以上のような微小亀裂と巨視亀裂の伝播速度の相違は、亀裂閉口の亀裂長さ依存のみでは説明できず、その本質的な問題が含まれている。
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Research Products
(1 results)