1994 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールでのダイヤモンド工具の形状及び強度に関する研究
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06750120
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武澤 伸浩 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (50236452)
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Keywords | ナノスケール / ダイヤモンド / 分子動力学法 |
Research Abstract |
以前の研究より、ダイヤモンド表面をナノスケールで見ると、(111)面を表面とする微細構造を持つことがわかっている。そこで、今回は(111)面を表面に持つビッカース型のダイヤモンド圧子の原子モデルを用い、その形状および強度について解析を行なった。解析はTersoffポテンシャルを用いた分子動力学法により行なった。 まず、ダイヤモンドの温度300[K]に固定し、緩和を行なった。その結果、ダイヤモンド表面の原子は再構成せず、(111)面のままであり、鋭い先端を保つことがわかった。また、表面張力によりダイヤモンド表面は凹面に反り、先端がわずかに鋭くなった。これより、ナノスケールで見たダイヤモンドは非常に鋭い先端を持つことがわかった。 次にこのダイヤモンド圧子を用い、シリコンのナノスケールインデンテーション、および、単粒加工を行ないその強度について調べた。インデンテーションでは、ダイヤモンド結晶中には50[GPa]を越える大きな圧縮応力が生じたが、大きな引張応力は存在せず、ダイヤモンドの変形は弾性変形のみであった。さらに、ダイヤモンド圧子をシリコン譚結晶に押し込んだ後、圧子を横に動かし、単粒加工を行なった。このとき、100[GPa]を越える引張応力が存在したが、クラックが生じたり、原子が離脱するというようなことは起こらず、圧子は鋭い先端を保ったままであった。以上のことから、ダイヤモンドをナノスケールで見た場合、非常に鋭く強い先端を持つことがわかった。
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[Publications] 武澤伸浩・稲村豊四郎: "原子/連続体併用モデルによるぜい性材料の延性モード加工メカニズムの解析(第1報)" 1994年度精密工学会秋期大会学術講演会講演論文集. 827-828 (1994)
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[Publications] 武澤伸浩・稲村豊四郎: "原子/連続体併用モデルによるぜい性材料の延性モード加工メカニズムの解析(第2報)" 1995年度精密工学会春期大会学術講演会講演論文集.
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[Publications] Shoichi SIMADA,Toyoshiro INAMURA,et,al: "Brittle-Ductile Transition Phenomena in Microindention and Micro Maching." Annals of the CIRP. (1995)