1994 Fiscal Year Annual Research Report
超精密ダイヤモンド工具切れ刃の非接触先端形状計測に関する研究
Project/Area Number |
06750123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高谷 裕浩 大阪大学, 工学部, 助手 (70243178)
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Keywords | 超精密切削加工 / 超精密ダイヤモンドバイト / レーザ応用計測 / インプロセス計測 / 工具切れ刃先端形状 / 短波長レーザ / 高次回折光 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
超精密ダイヤモンド切削加工は工具輪郭の仕上げ面への転写性が完全であれば,切れ刃稜の粗さが仕上げ面粗さの到達限界を決定し,切れ刃稜が鋭利で一様性が高いほど加工精度は向上する.従って,さらに一桁上の加工表面精度を実現し脆性材料の加工における切削能率を向上するためにはダイヤモンド工具の切れ刃先端の形状精度の向上が不可欠であり,ダイヤモンド工具の高精度な刃先研磨法と切れ刃先端形状の測定評価技術の開発が急がれている.そこで本研究は短波長レーザ光の微細形状による回折現象を利用した超精密ダイヤモンド工具切れ刃の非接触先端形状計測法を開発することを目的としている. 本年度は,ダイヤモンド工具切れ刃稜形状による回折光強度分布測定実験によって,高次の微小回折光強度とダイヤモンド工具切れ刃の先端形状との関係について調べた.当該年度の研究成果をまとめると以下のとおりである. (1)光学系の構築と基礎実験 微弱な高次の回折光強度分布までを高い空間分解能で計測できる実験装置をクリーンルーム(クラス10)内に構築した.実験装置の構成は次にようなものである.まず,波長488nmのArレーザ(出力160mW)を光源に用い,レーザ光を高倍率対物レンズ(×40)によって回折限界まで集光しφ0.5μm程度のスポット光として工具切れ刃稜先端に照射するための光学系を構成した.次に,微弱な高次回折光強度を測定するために高感度なCCDエリアセンサを用い,さらにこれを回転ステージに装着し,広い回折角をスキャンさせながら回折光強度を測定することにより高次光の測定に対応できる検出光学系を構成した. 以上の実験装置を用いて,レーザ光を超精密ダイヤモンド工具の切れ刃先端に照射し,レーザスポット径,入射角,偏光状態などの入射条件と高次回折光の回折角および回折光強度との関係を調べた. (2)超精密ダイヤモンド工具の切れ刃先端による回折光の特性を調べる実験 基礎実験に基づいて決定した光学系の分解能に従い,高次回折光強度分布をさらに高感度,高空間分解能で測定するため,プリズムの臨界角を利用する方法で高次回折光を分離し,高感度化と高い空間分解能で測定できる新たな検出光学系を組み込んだ.まず,切れ刃稜先端丸み曲率半径の異なる超精密ダイヤモンド工具を用いて,丸み曲率半径と高次回折光特性の関係を調べた.さらに,ピエゾドライブの試料ステージを用いて,超精密ダイヤモンド工具を5nm〜15nmの精度で移動しながら高次回折光の変化を測定する実験を行い,切れ刃稜先端丸み曲率半径と高次回折光強度分布の定性的な関係を明らかにした.
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