1994 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理量子力学電子軌道計算による濡れ性の解明と制御
Project/Area Number |
06750127
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
豊田 洋通 愛媛大学, 工学部, 助手 (00217572)
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Keywords | 濡れ / 金属 / 相互作用 / 第1原理 / 擬ポテンシャル / セルフコンシステント / スーパーセル |
Research Abstract |
1.超高真空中での液体金属の濡れ性実験 ターボ分子ポンプ(現有)により排気した10^<-7>Paの超高真空中チャンバ内でフラッシュにより清浄化した高融点金属と液体金属の濡れの接触角を測定し真の相互作用を調べた(現有装置)。Arイオンクリーニング清浄化処理の結果、従来よりはるかに安定した濡れ性が実現でき、接触角の測定精度が向上した。本研究により濡れ性の測定技術が確立したといえる。 2.第一原理量子力学軌道計算による濡れのシミュレーション 本年度は、第一原理の電子軌道計算プログラムが完成したので、そのプログラムを用いて実際に金属表面の計算を行った(大阪大学 NEC-SX3 科研計算費使用)。WおよびMoの表面のスーパーセルモデルについて計算を行ったところ、SX3の性能限界内でエネルギー誤差0.3eV以下の計算が行えることがわかった。しかし、W表面に吸着させるべきAu,Ag,Cu等の原子については、現状では10eV程度のエネルギー誤差が生ずることが判明した。これらは計算に用いた原子のポテンシャル(擬ポテンシャル)の勾配の程度に依存する問題である。全ての原子系について0.1eVエネルギー精度で計算を行うには、プログラムの改良(アルゴリズムの高速化)が必須条件である。 定量的な計算にはまだ問題があるので、定性的な濡れ性計算を行ってみた。W表面のスーパーセルモデルにAu,Ag,Cu,Pb,Sn,Al等の原子を吸着させたモデルで吸着原子の位置をいろいろ変えて吸着エネルギー曲線の計算を行った。エネルギー最低の構造が全ての場合についてわかった。濡れ性実験との相関については現在検討中である。
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