1994 Fiscal Year Annual Research Report
周期的後流の影響を受ける境界層に対する能動的・受動的遷移制御に関する研究
Project/Area Number |
06750157
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船崎 健一 岩手大学, 工学部, 助教授 (00219081)
|
Keywords | 境界層 / 周期的後流 / 制御 / 遷移 / 剥離法 / 弾性壁 |
Research Abstract |
本研究の目的は、能動的、受動的境界層制御法を用いて、周期的後流の影響を受ける平板および単独翼表面上の境界層の強制遷移の制御を行い、翼列性能の向上を試み、また、そのメカニズムを明らかにすることである。研究成果は以下の項目にまとめられる。 1 受動的境界層制御下での周期的後流が境界層遷移に与える影響 後流発生風洞を使用して周期的後流が平板境界層の遷移に与える影響を熱線流速計により詳細に計測した。この風洞は、回転円盤およびその外周上に取り付けられた円柱からなる後流発生器を絞りノズル出口に設置し、円柱からの後流が下流側テストチャンネル内に設置された供試体に及ぶように設計されている。受動的制御法としては、供試体表面に負の圧力勾配を付加する方法を採用した。ここでの実験の結果、負の圧力勾配の存在により境界層は安定化し、周期的後流による境界層の遷移点は下流側に移動することが確認された。しかし、運動量暑さに基づくレイノルズ数では180〜220で遷移していることが明らかになった。なお、このことはターボ機械の設計上重要な点である。また、後流内の相対的運動(negative jet)の方向により遷移点が変化することも確認された。 2 剥離泡に対する周期的後流通過の効果 1と同様の装置を用い、鈍頭な物体の前縁近傍に発生する剥離泡に対して、周期的後流の通過がどの様な効果を持つかを、熱線流速計を用いて調べた。その結果、後流の通過直後に剥離泡は短くなり、通過後しばらくして定常状態にほぼ復帰することが確認された。このような剥離泡の周期的な変動は、結果として剥離泡以後の境界層の特性を大きく変化させていることも確かめられた。 3 能動的制御法に関する数値実験 境界層の遷移を遅らせる方法として注目されている弾性壁(Compliant Surface)を物体表面の一部に取り付けたモデルを用いて、数値実験的に弾性壁の効果を明らかにすることを試みた。研究としては、まだ始まったばかりで、弾性壁モデルにはKrammerモデルを用い、流れ場の解析にはポテンシャル流解析法(境界要素法)を用いた。解析では、流れによる弾性壁の動的挙動を精度よく捉えることができた。今後、境界層への影響などを、数値的、実験的に明らかにしていく。
|