1994 Fiscal Year Annual Research Report
負荷感応回路の動特性の解析とその安定化のための系統的設計手法の開発
Project/Area Number |
06750182
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
桜井 康雄 上智大学, 理工学部・機械工学科, 助手 (70205813)
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Keywords | 負荷感応油圧回路 / 省エネルギ / モデル規範形適応制御理論 |
Research Abstract |
負荷感応油圧回路はポンプ吐出し圧力と負荷圧力を検出し、可変容量型ポンプの斜板を常時制御することにより、負荷に必要な動力を常時ポンプより供給する油圧回路である。そのため、理想的にはエネルギー損失を零にすることができ、省エネルギーには大変有効であり、近年、負荷の変動が激しい射出成形機、建設機械等に応用されている。しかしながら、この回路は開発の歴史が浅いため、この回路の設計・開発は経験的、試行錯誤的な作業に頼っているのが実状である。特に、この回路は本質的に不安定であるため、実際の使用にあたっては、経験的に回路中に固定絞りを入れ、常時エネルギーを損失させ、試行錯誤的に系の安定化を図っているのが実状である。 そこで、本研究では、適応制御理論を適用することによりこの回路の安定化とそのための系統的な設計手法の開発を目的とした。まず、油圧シリンダ出口側にリリ-フ弁とそのパイロット圧を制御する電磁比例リリ-フ弁を取り付けた。そして、電磁比例リリ-フ弁入力電圧を調節し、シリンダ出口側の減衰量を変化させ、間接的にシリンダ入口側圧力(負荷圧力)を制御することにより、系を安定化を試みた。すなわち、制御入力を電磁比例リリ-フ弁入力電圧、制御出力を負荷圧力とし、負荷圧力が一定となるような規範入力、規範モデルを与え、モデル規範形適応制御系を構成し、負荷の減衰を動的に制御することにより、系の安定化を図った。その結果、シリンダ速度が遅いときは未知パラメータの値は収束し、負荷の減衰を動的に制御でき、系の安定化を図ることができた。しかしながら、シリンダ速度が速いときには、未知パラメータの値が収束せず、系を安定化することができなかった。この原因としては、2入力1出力システムをスカラー系に近似している影響によるものと思われる。今後、この系に多入力多出力システムの適応制御理論を用い、全ての領域で系の安定化を図りたい。
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