1994 Fiscal Year Annual Research Report
原子層制御エピタクシによるダイヤモンドヘテロ薄膜とそのデバイスの研究
Project/Area Number |
06750321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
作田 健 大阪大学, 基礎工学部, 講師 (70221273)
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Keywords | ダイヤモンド薄膜 / シリコンカーバイド / ヘテロエピタクシー / 負バイアス処理 / MOSFET |
Research Abstract |
ダイヤモンドヘテロエピタクシでは、基板(Si)とダイヤモンド薄膜の界面を良好な状態に保つ必要がある。この良好な界面状態を形成するために、水素終端したSi基板の真空アニール(800℃)を試みた。基板表面に付着したカーボン種と基板Siが反応して、SiCが形成さる(RHEED,LEEDにより確認)。このSiCは安定かつダイヤモンド成長の下地面として、有効に作用した。ダイヤモンド成長は、このSiC/Si基板に対し、負バイアス処理を施し、核形成密度の増加させ、その後、CO/H_2系により、実際にダイヤモンド成長を行った。以上の簡便なプロセスにより、ダイヤモンドはSiに対し、大きな格子不整合を持つにもかかわらず、良好な面内配向を有した結晶成長を示した。このことは、ダイヤモンドのヘテロエピタクシに関しての課題である、Si上に直接成長するのか、あるいはSiCを介して成長するのか、という疑問に対して、SiC層を介して成長することを示す有力な証拠である。また、これらの処理は、装置の都合により現在は大気曝露の工程を経るが、装置の改良で、容易にinsitu処理が可能であり、今後は、装置の改良を行う。 一方、ダイヤモンドMOSFETの試作において、酵素freeのプロセスを実現できる材料としてCaFを絶縁膜に用いた。その結果、素子の構造がドレイン-ソース間距離が30μmと長いにもかかわらず、デプリーションモードでの動作において、相互コンダクタンスが25μS/mmを得た。この値はMOSFETとしては、大きな値である。その動作特性において、浅い準位が界面近傍に形成されている可能性が見出された。この準位について、ドレイン-ソース間の電流の温度依存性から検討を加えている。 さらに、p-i-p構造を用いることでカソードルミネセンスを電界変調が実現できそうな予備実験結果を得た。この結果についてはさらに詳細な実験を行う必要がある。
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