1994 Fiscal Year Annual Research Report
電磁石を用いた酸化物超伝導体の磁気浮上効果に関する研究
Project/Area Number |
06750357
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
鈴木 晴彦 いわき明星大学, 理工学部, 助手 (30201578)
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Keywords | 電磁石 / 酸化物超伝導体 / マイスナー効果 / ピン止め効果 / 磁気浮上 / 軌道分岐 / アクチュエータ |
Research Abstract |
本研究の目的は、酸化物超伝導体のマイスナー効果やピン止め効果による磁気浮上を、電磁石による直流磁場上で可能にし、さらに変動磁場を与えることにより超伝導試料の磁気浮上状態や推進効果について観察を行い、酸化物超伝導体の磁気浮上特性を利用した機器への、応用の指針を得るための基礎データ集積を行うための実験研究である。 第1に本研究では、永久磁石軌道の一部を電磁石に置き換えた「非機械的軌道分岐」を製作し、電磁石を含んだ軌道部分の磁場観測および走行実験を行った。本助成金により購入した3軸ホール素子により磁場観測を行った結果、電磁石によって作られた静磁場は大きく乱れることなく、電磁石の極性の切り換えに伴って磁場の分布がスムーズに変化していることが分かった。これにより、酸化物超伝導体のピン止め効果を利用した磁気浮上走行において、分岐部に電磁石を用いることにより、完全非接触・非機械的な分岐走行を世界で始めて可能にした。 第2は、約10×10mmの磁極面を持つ電磁石を一列に4個配列したものを製作し、直流電源により静磁場を作り、磁場観測および浮上観測を行った。本実験の結果、それぞれの電磁石磁極面の磁束密度は約1700[G](励磁電流1.6[A])で、電磁石列の励磁をN-S-N-S(またはS-N-S-N)の順に設定すると、進行方向のみに自由度を与えた実験モデルでは電磁石の極性切り換えに伴って浮上体が移動可能であることを確認した。また2列配列したモデルでは進行方向に対し横方向への安定性も実現している。今後は電磁石に極性の切り換えに伴った変動磁場(磁場の過渡現象)による、超伝導体の上下方向の振動を解析し、どの様にして抑えるか等の実験的検討を加え、アクチュエータ等の応用を検討する必要がある。 以上本研究課題における結果は、本報告書11に示した論文に発表済みである。
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[Publications] 過足光三: "酸化物超伝導体を用いた磁気浮上および磁気懸垂走行装置の試作" 第6回電磁力関連のダイナミックス・シンポジウム講演論文集. 6. 31-36 (1994)
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[Publications] H.Suzuki: "A Model Vehicle with Magnetic Flux Pinning Effects of High-Tc Oxide Superconductors." Rroceedings of the Fourth International Symposium on Magnetic Beanings.4. 423-428 (1994)
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[Publications] 鈴木晴彦: "ピン止め効果を用いた磁気浮上走行装置における軌道分岐の磁場特性" 電気学会リニアドライブ研究会資料. 33-42 (1994)
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[Publications] 草野浩一: "電磁石を用いた酸化物超伝導体の磁気浮上搬送の試み" 電気学会リニアドライブ研究会資料. 51-58 (1995)