1994 Fiscal Year Annual Research Report
確率計画による発電部門における二酸化炭素問題対策技術の評価
Project/Area Number |
06750413
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤井 康正 横浜国立大学, 工学部, 助手 (60251766)
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Keywords | 二酸化炭素問題 / 最適電源計画 / 不確定性 / 確率的動的計画 / 多段決定問題 |
Research Abstract |
1.本研究の実績 本研究では、CO_2排出量の約3割を排出する発電部門に関して、来世紀中頃までを対象にした電源計画モデルを構築した。そして、CO_2排出抑制政策に関する不確定性とその経年変化とを考慮した電源計画手法を確率的動的計画手法に基づいて提案した。そこでは、不確定な排出抑制政策を時変の確率過程としてモデル化し、電源計画を分解解法が適用可能な大規模線形計画問題として定式化した。そして、炭素排出量規制や炭素税の導入という不確定要因が、今後の発電設備構成に与える影響を分析した。 本研究は以下の手順で行った。 (1)関連データの収拾と整理、および発電部門のモデリング(4カ月) 発電部門のモデリングに必要なデータ収拾、整理、加工を行った。そして、発電部門のモデリングを変数の個数が3000個程度の確率的動的計画問題として定式化した。 (2)ソフトウェアの開発、およびモデルによる分析(7カ月) OECDによって集計されたエネルギー統計を購入し、そのデータに基づいてモデルパラメータの設定を行った。そして(1)で定式化したモデルを最適化するためのプログラム作成を新規に購入した計算機上で行った。さらに我が国の発電部門を対象にした数値例を通して、作成されたモデルを用いて不確実性下における発電部門のCO_2問題対策技術の評価を試みた。 2.本研究の成果 提案手法の有効性をまとめると次のようになる。まず本手法では、電源計画を多段決定過程として定式化するため、対象期間途中における排出抑制政策の変更に対して柔軟に対応できる計画の立案を可能としている。そして、排出抑制政策決定に関する不確定性を時変の確率過程としてモデル化しているので、不確定性の経年変化の影響を明示的なシナリオに基づいて評価することができる。本手法は、発電部門以外のエネルギーシステムにも十分に適用可能と考えられ、本研究の担当者は既に提案手法の拡張を図りつつある。
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