1994 Fiscal Year Annual Research Report
カオスモデルに基づくデイジタル信号処理の開発とその生体情報解析への応用
Project/Area Number |
06750480
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
荒川 薫 明治大学, 理工学部, 助教授 (30183734)
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Keywords | ディジタル信号処理 / カオス / 非線形フィルタ / 生体信号処理 / 容積脈波 / 予測フィルタ / ファジィルール / 知的信号処理 |
Research Abstract |
1.非線形適応予測フィルタの提案とそれによるカオス信号の予測モデル化…‥カオス信号などを表す非線形多項式は区分線形式として近似される。本研究では、このような区分線形式で表される予測フィルタを提案した。この予測フィルタは、モデル化すべき信号に対し、予測誤差自乗平均を最小とするよう学習的手法により、適応的に設計される。本手法をカオス信号に対して適用し、従来の線形予測フィルタと比較してさらに効果的な予測モデルが得られることを明らかにした。 2.生体信号(容積脈波)に類似したテスト信号に対する予測モデル化…‥容積脈波は一般に、三角波的な周期信号として得られる。ここではこの容積脈波に似た周期三角波を人工的に作り、またそれに若干の変動を加え、1.の区分線形予測フィルタによる予測を行った。本フィルタが従来の線形予測フィルタに対し効果的であることが示された。 3.容積脈波の採取及びそれに対する予測モデル化…‥実際に採取された容積脈波に本手法を適用し、その有効性を調べたところ、先のテスト信号の場合とは異なり、区分線形化の効果があまり得られなかった。これは、実際の容積脈波がランダムな変動を多く有するからである。しかし、ここで提案した予測フィルタに適した人工的信号は存在するので、容積脈波波形の修正及び他の信号への応用等が今後の検討課題である。 4.ファジィルールに基づく知的信号処理の開発…‥自然界で得られる信号の非定常部あるいは異質部の検出には一般に曖昧さが伴う。本研究ではこの曖昧さを考慮するため、ファジィルールに基づく知的ディジタルフィルタの開発を行い、このフィルタが非定常的入力信号に含まれた雑音の除去に効果的であることを示した。
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[Publications] Kaoru Arakawa(荒川 薫): "Fuzzy Rule-Based Signal Processing and Its Application to Image Restoration" IEEE Journal on Selected Areasin Communications. 12. 1495-1502 (1994)
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[Publications] 荒川 薫: "インテリジェント信号処理の現状と展望" 電子情報通信学会論文誌A. J78-A. 103-113 (1995)
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[Publications] 荒川 薫: "ファジ-ルールに基づくメジアンフィルタ" 電子情報通信学会論文誌A. J78-A. 123-131 (1995)
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[Publications] 荒川 薫: 電子情報通信学会論文誌A. J78-A. 151-160 (1995)