1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 利治 東京大学, 工学部(試), 助手 (90251339)
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Keywords | 複合水和発熱モデル / セメント鉱物組成 / 高炉スラグ / フライアッシュ / 高性能減水剤 |
Research Abstract |
本研究の目的は,セメントの鉱物組成に着目した複合水和発熱モデルを任意の材料・任意の配合に対応できるように一般化を図ることである.本年度に得られた成果は以下の通りである. 1.水セメント比の影響:低水セメント比の配合においては,水和反応の末期において,水和に要する水量の不足から,反応速度の低減と水和の停滞が生じる.そこで,水和の進行に伴う水の消費を追跡し,水の残量と水の拡散移動抵抗となる水和生成層厚を用いて,低水セメント比の配合における反応末期の速度低減を定式化した. 2.混和材置換率の影響:高炉スラグ及びフライアッシュのセメントに対する置換率を様々に変化させた水和発熱速度の測定を行い,混和材及びセメント間の相互依存作用について,定量的に明らかにした.すなわち,セメントとスラグはほぼ独立に水和反応が進行すること,およびフライアッシュはセメント,スラグの両者に対して水和遅延効果があることが判明した.そして,これらの相互依存作用を複合水和発熱モデルに定量的に取り入れ,混和材置換率の変化に対応できるように修正を行った. 3.高性能減水剤(混和剤)の影響:高性能減水剤の添加により,セメントの水和反応は遅延され,この混和剤による遅延効果は,混和剤の種類および使用セメントの種類により変化することが知られている.そこで,初期水和発熱過程の定量化に向けて,混和剤の種類によって異なる遅延効果と使用セメントの種類によって異なる遅延に対する相殺効果を考慮し,混和剤による水和発熱過程の遅延効果をモデル化した. 改良された複合水和発熱モデルは,既往の断熱温度上昇履歴の測定結果により検証を行い,さらに,強度発現モデルおよび温度応力解析への応用を試みた.
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[Publications] T.Kisihi and K.Maekawa: "Thermal and Mechanical Modelling of Young Concrete Based on Hydration Process of Multi-Component Cement Materials" Proc.of Int.RILEM Symp.on Thermal Cracking in Concrete at Early Ages. 11-18 (1994)
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[Publications] 加藤佳孝,岸 利治: "構成鉱物の水和に基づく若材令コンクリートの強度発現モデル" コンクリート工学年次論文報告集. 第16巻第1号. 503-508 (1994)
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[Publications] 加藤佳孝,岸 利治: "温度ひびわれ抵抗性に立脚した混合セメントの鉱物組成設計" 土木学会第49回年次学術講演会講演概要集. 第5部. 412-413 (1994)