Research Abstract |
本研究では,天然砂の保護,南洋材合板型枠の転換,産業副産物の有効利用,構造物の耐久性や景観の改善,施工の合理化などを目的とし,部材表層部に残血させる永久型枠やその内部に打設するポーラスコンクリートに関する実験を行った。実験では,耐アルカリ性や結合力を高めるためにアクリル系ポリマー処理した耐アルカリガラス繊維ネット,緻密性や接着性以外に湿潤強度や圧縮強度も高めるスチレンアクリル系ポリマー混和材,天然砂,砕砂,フェロニッケルスラグ砂などを用いて永久埋設型枠用セメントモルタルを作製し,強度,耐久性,長さ変化などを調査した。また,各種骨材,石炭灰フライアッシュ,高炉スラグなどを用いて型枠内部に打設するポーラスコンクリートを作製し,強度,耐久性などを検討した。これらより得られた結果を以下に示す。 (1)ポリマーやネットを使ったモルタルは,普通コンクリートと比べ,乾燥収縮が大きいが,熱膨張率は同程度で,流動性,圧縮・引張・曲げ強度,耐磨耗性,遮塩性,耐酸・硫酸塩性などが高く,材料分離や中性化も抑制する。 (2)モルタルにニッケルスラグ砂を使うと,天然砂や砕砂の場合より,材料分離は生じやすいが,流動性,諸強度,耐衝撃性,耐磨耗性および遮塩性が高く,乾燥収縮や中性化も抑制する。 (3)アクリル系ポリマーによる浸漬乾燥処理は,ネットの耐アルカリ性や結合強度を高める簡便な手法となる。 (4)容積10%以上の連続空隙をもつポーラスコンクリートの圧縮強度は,セメント空隙比と直線関係,また動弾性係数と指数関係にあり,普通コンクリートと同程度の値も得ることができるが,材齢に伴う増進率は小さい。 (5)フライアッシュやスラグをセメントに一部置換したポーラスコンクリートは,強度発現性が低く,スラグでは耐海水性が悪いため,永久型枠での保護やこれらを多量使用した普通コンクリートとしての使用が必要となる。 以上より、永久型枠の諸性能は高く,ポーラスコンクリートや副産物も条件付きながら利用価値のあることがわかった。今後,型枠とコンクリート本体の複合部材や石炭灰多量使用コンクリートの検討を行う予定である。
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