1994 Fiscal Year Annual Research Report
群論とブロック対角化手法を用いた後座屈不安定点の新しい分類法に関する研究
Project/Area Number |
06750502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中沢 正利 東北大学, 工学部, 講師 (20198063)
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Keywords | 弾性平板 / 後座屈挙動 / 不安定現象 / 二次座屈 / 群論 / ブロック対角比 / 特異点分類 / 接線係数行列 |
Research Abstract |
弾性平板パネルが初期分岐した後のいわゆる後座屈領域で再度起こる不安定現象に着目した.これらの特異点を分類するには,固有値問題としての数値解析的な判定にたよる方法がこれまで一般的であった.この手法として,太自由度離散系の数値解析に適した半谷らの分類法を採用した.これはつり合い方程式を荷重および変位制御型手法を用いて数値計算し,両手法における接線係数行列全体の行列式の正値数より判定する方法である. これに対し,本研究ではこの荷重制御型接線剛性行列に群論およびブロック対角化手法を適用し,新しい分類法を試みた.すなわち,群論より得られる平板の対称性情報を用いてブロック対角手法による座標変換を行ない,各対称性に対応した部分行列を接線剛性行列から抽出する.さらにこれらサブ行列の正値性を判定することによって特異点の分類を行なう.これは,分岐座屈などの不安定現象が板の変形における対称性の崩れとして表現されることに立脚している.よってどのような対称性に対応したサブ行列が特異になるかによって,特異点の物理的意味が明確に記述されることとなるのである. さらに,半谷らの分類結果と対比することにより,この新しい分類法の妥当性を確認した.以上,本研究で得られた成果を列挙すると, ・群論的アプローチによる特異点の分類結果は,半谷らの判定法と忠実に対応する. ・群論的アプローチでは荷重制御型解析のみでよく,また分類作業は極めて容易である. ・不安定現象を対称性の崩れと解釈できることから,特異点の物理的意味が理解しやすい. ただし前操作としてブロック対角化を行なうためには,群論的知識が不可欠である.
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