1994 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波探査法を用いた杭打設後の地盤物性評価に関する研究
Project/Area Number |
06750530
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大谷 順 熊本大学, 工学部, 助教授 (30203821)
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Keywords | 杭基礎 / 弾性波探査 / せん断波速度 / 支持力 / 模型実験 / 応力 / 変形 / セットアップ |
Research Abstract |
杭および群杭基礎を打設する場合,地盤は杭打設によって乱され,その結果杭に作用する地盤反力はこの打設の影響を大きく受ける場合が多いにもかかわらず,現行の支持力推定法ではこの影響を考慮されていない.本研究は,弾性波探査法を用いて模型杭打設前後の地盤のせん断弾性波速度を測定し,その結果を用いて,実際の杭基礎の設計および数値解析に導入すべくセットアップ(初期地盤物性変化)の定量的評価を行なうことを目的とする.本年度は,模型土槽を用いた物理探査試験の実施およびその結果を有限要素解析に導入してセットアップの影響を定量的に評価した杭の支持力について明らかにした. 以下に示す3件についての成果を得た. 1)1.5mx1.5mx1.5mの模型土槽内に2種類の密度の砂地盤を作成し,弾性波探査試験を実施した.まず1本の杭設置前および設置後の地盤のせん断弾性波速度を測定し,杭設置後の値のほうが若干大きいという結果を得た.また,杭設置前の地盤のせん断弾性波速度は比較的みだれが少なく測定できたが,杭設置後では波が少し乱れてその定量化が困難であり,この影響は地盤の密度が小さいほど大きいという結果を得た. 2)1)と同様の実験を,4本の模型杭打設ケースについても実施し,単杭とは異なり設置前に比べて約2-3倍ものせん断弾性波速度が測定され,その影響が著しいことがわかった. 3)本実験で得られた結果を地盤の初期弾性係数に反映させた.単杭に鉛直荷重が作用する場合の有限要素解析を実施し,このセットアップを考慮した場合の杭の支持力はこれを考慮しない場合に比べておよそ1.5倍の支持力が得られ,その重要性を示唆した.
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