1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750657
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 和恵 小山工業高等専門学校, 建築学科, 助手 (10230541)
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Keywords | 生活空間 / 病室環境 / 緩和ケア病棟 / 生活の質 / 病棟計画 |
Research Abstract |
医療施設を生活空間として整備するための資料を得るため、生活の質の保持をケア目的の1つとしている緩和ケア病棟の患者の生活調査を行った。病室の環境整備の状況は、使い慣れた家具、生活用品等の持ち込み、趣味の品々の展示により、自分の領域とする工夫が成されていた。病室内に、自分の領域の他に家族の領域や接客領域等を形成している例もある。また病棟の公共領域へ領域拡大が観察され、生活展開上重要であることがわかった。生活環境の整備状況は以下の要因が影響を及ぼすものと考えられる。 1)在院期間--(1)初期は入院生活への適応を図り、(2)その後、病状・精神状態も落ち着き、「生活の質」の向上を図り、(3)最後に、病状が悪化、静かに見守る時期などのステージがある。(2)の期間の長さが環境整備の密度に影響を及ぼす。 2)状態の安定の程度--疼痛緩和が成功する患者が多く安定した状態が比較的長く、病室の環境整備が重要であり、特に患者は、光・音・視線のコントロールを重要視している。 3)生活の自立度--自立度の低下に際しても、自分自身で生活展開ができるハードの配慮が望まれている。バリアフリー、ドアやスイッチの軽量化、リモコンの設置など、計画当初からの配慮が望まれる。また、プライバシーや自尊心の確保への配慮は不可欠である。 4)付き添いの度合い--環境整備を付き添いが分担することが多いようである。 5)患者の意識--非常に生活に対する意識の高く、積極的なコミュニケーションや作業を求めている患者がいる。その一方で、病人として世話をされる立場を受け入れ、生活展開が不活性である患者も以外と多い。 6)年齢・性格--高齢者の場合、様々な思い入れがある一方で、病室を整備することを半ば諦めている患者が多く、援助が必要な層の1つではないかと思われる。
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