1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750689
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
脇谷 尚樹 東京工業大学, 工学部, 助手 (40251623)
|
Keywords | ペロブスカイト / パイロクロア / 熱安定性 / 結晶構造 / 結晶化学 |
Research Abstract |
Pbを含む緩和型誘電体化合物は比較的低温で合成でき、高い誘電率を持っていることから現在広く研究、開発が進められている。しかしながらこれらの化合物は合成時および熱分解時に誘電率の低いパイロクロア型化合物が生成しやすいという問題がある。この理由はしかしながらほとんど明らかにされていない。本研究ではPb含有複合ペロブスカイト相の安定性を支配する因子を明らかにし、新しい強誘電体であるリラクサ-材料のペロブスカイト-パイロクロア相の相変化に対する新しい考え方を構築することを目的とした。リラクサ-材料として比較的合成が容易であるPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PMN)および通常のセラミックス合成プロセスでは全く合成ができないが、PbOのフラックス中では単結晶として育成が可能なPb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PZN)のそれぞれについて単結晶を育成し、Pbの揮発を押さえた環境で高温における熱安定性を調べた。その結果PZNは単結晶育成温度と同じ温度で分解した。この理由について本研究ではオストワルドの段階則がこの系に成立しているのではないかと考察した。一方PZNはAサイトまたはBサイトの一部を他の元素で置換することによっても安定化されるが、その理由についてはPb^<2+>における孤立電子対の立体障害効果の減少を結晶学的に検討することによって説明することに成功した。さらに本研究では一般式A(B´B〃)O_3を持つペロブスカイト型化合物に対して、Bサイトを構成している個々のB´およびB〃イオンについて"部分静電ポテンシャル"という概念を導入してその安定性を検討し、PZNに代表されるようなペロブスカイト相が安定に生成しない化合物すべてに適用可能な規則を確立するのに成功した。
|