1994 Fiscal Year Annual Research Report
単繊維包埋試験法による炭素繊維及びガラス繊維強化複合材料の耐久性に関する研究
Project/Area Number |
06750704
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩谷 正俊 東京工業大学, 工学部, 助手 (10196363)
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Keywords | 複合材料 / 界面強度 / 繊維強度 / 単繊維包埋試験 / 劣化 / 耐久性 |
Research Abstract |
単繊維包埋試験法は、繊維強化複合材料における繊維〜樹脂界面せん断強度を評価する方法として広く用いられている。この方法は、単繊維複合材料に引張荷重を負荷することによって破断した繊維の長さ分布と、別の実験によって求めた繊維の引張強度から界面せん断強度を計算するものである。しかし、複合材料に用いられる繊維は著しい強度分布を示すことが多く、また、複合材料を環境に暴露すると繊維強度が劣化する場合がある等の理由により、単繊維包埋試験法を複合材料の耐久性の研究に応用するには問題があった。そこで本研究ではまず、繊維の欠陥分布に基づいた単繊維複合材料中での繊維破断過程の解析を行い、単繊維包埋試験の結果から繊維の引張強度と界面せん断強度を同時に評価する方法を確立した。すなわち、繊維の破断点の数を複合材料のひずみに対して対数軸上にプロットすると、この関係の初期勾配と切片から繊維の強度分布を表すワイブル係数が得られる。また、この関係は複合材料のひずみの増加に伴って直線関係からずれて行くが、このときのずれの程度とワイブル係数から界面せん断強度が得られる。このようにして得られる繊維強度分布と、単繊維の引張試験によって測定した強度分布を比較した結果、数種類のガラス繊維について両者の値に良い一致が見られた。この解析方法によって、Eガラス/エポキシ樹脂複合材料を75℃の熱水に166日間暴露したときの繊維強度及び界面せん断強度の劣化を検討した結果、繊維強度は1.9GPaから0.83GPaに、また界面せん断強度は90MPaから31MPaへと、著しく低下することがわかった。繊維強度の低下は繊維径が小さいほど顕著であり、熱水中での樹脂の膨潤によって繊維の破断が生じることもわかった。炭素繊維その他の繊維で強化した複合材料についても、現在研究を行っている。
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