1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750710
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
太田 道也 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (40168951)
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Keywords | コールタールピッチ / 1,4-ベンゼンジメタノール / α-メチルナフタレン / 溶融紡糸 / 繊維 / 濃硫酸 / 耐熱性 / 機械的強度 |
Research Abstract |
1.目的:本研究は、コールタールピッチを原料として簡単な方法で耐熱性繊維を作成することを最終目的としてつぎのことを検討した。すなわち、コールタールピッチと1.4-ベンゼンジメタノール(PXG)とから新しく縮合多環多核芳香族(COPNA)樹脂を合成したのち繊維を紡糸する。ついで、室温下で繊維の不融不溶化条件を検討することによって、高温で加熱しても軟化及び劣化しない耐熱性繊維を調製することにした。 2.研究成果 2.1紡糸用原料樹脂の合成:コールタールピッチにその平均分子量で換算して2.5倍モル量のPXGと5wt%の酸触媒を加えて120℃で2〜3時間加熱合成することにより、繊維の溶融紡糸に適した紡糸用原料樹脂が合成できることがわかった。この樹脂は溶融紡糸装置で約200mの連続紡糸が可能であった。しかし、紡糸した繊維を不融不溶化処理をおこなったのち、その外観を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、繊維はハート型をしており繊維軸方向にクラックが認められた。今回、この原因を原料樹脂の不均一性に問題があると考え、ピッチの溶剤となりPXGと反応して樹脂を生成するα-メチルナフタレンを樹脂の合成時に少量添加したところ、繊維の表面にはクラックの発生が認められなくなることが明らかになった。 2.2樹脂の耐熱性と機械的強度:合成した樹脂を紡糸装置で溶融紡糸したのち、室温で濃硫酸に3分間浸漬して不融不溶化処理を行なったところ、得られた繊維は炎に近づけても溶融することはなかった。しかし、熱重量分析をおこなったところ、繊維表面には不融不溶化過程で付着した水が400〜500℃での重量減少に影響を及ぼすことがわかった。そこで、不融不溶化過程での脱水処理を行なったところ、この温度域での重量減少率は改善された。また、これらの改善を行なったのちの繊維の機械的強度は引張強度で570MPaとなり、市販のキュプラ繊維に匹敵することがわかった。 2.3新規フッ素化樹脂の合成:得られた繊維に機能性を持たせる方法としてフッ素基を導入した紡糸用原料の合成が考えられる。本研究では、その予備実験としてフッ素化樹脂の合成にも成功した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Ota,T.Horiguchi,A.Kojima and S.Otani: "Preparation of Fluorinated Condensed Polynuclear Aromatic(COPNA)Polymer" The Sixth International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry. (1994)
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[Publications] M.Ota,J.Hosoi,A.Kojima and S.Otani: "Preparation of Thermostable Fiber from Pitch Based Condensed Polynuclear Aromatic(COPNA)Polymer" (投稿準備中).