1994 Fiscal Year Annual Research Report
希土類イオン交換処理による高飽和磁化フェライトの開発
Project/Area Number |
06750714
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高村 仁 東北大学, 工学部, 助手 (30250715)
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Keywords | β″-フェライト / β″″-フェライト / 希土類イオン / イオン交換 |
Research Abstract |
本研究は、高飽和磁化を有するフェライトの開発を目標とし、非平衡相の生成が期待されるイオン伝導性β系フェライトの希土類イオン交換の可能性ならびに、その電気・磁気的性質について検討することを目的としている。 まず、ZnOで安定化したβ″-フェライトのNdイオン交換では、773〜973Kの温度において、α-Fe_2O_3とスピネル相、および常温では不安定とされるβ″′-フェライト相に分解することが粉末X線回折により確認された。しかし、1073KでNdイオン交換処理した試料のX線回折パターンには、僅かではあるが磁気的に興味深いM型フェライトに対応する回折線が観察された。このNdイオン交換により得られたM型相の磁気的性質をVSMにより計測したところ、保磁力は2.7kOeと従来のM型フェライトに匹敵する値が得られたが、磁化の強さは得られたM型相の量比が10%以下であったことから8.75μWbm/kgと低い値であった。しかし、今後イオン交換条件の検討を行うことにより、より高い磁化を有するフェライトが得られると期待される。 また、CdOで安定化したβ″″-フェライトのNdイオン交換では、全ての交換処理試料においてα-Fe_2O_3への分解が起き、磁気的に興味のあるM型フェライト等は得られなかった。 今後の研究方針としては、β系フェライトと、希土類イオン交換が既知であるβ系アルミナとの混晶化を試み,K_2O-Fe-_2O_3-Al_2O_3擬3元系イオン伝導性化合物において希土類イオン交換を行う予定である。現時点では化学式K_2O・9.75(Fe_<1-X>Al_X)_2O_3・2.5CdOにおいてxが0.2までは混晶化可能ということまでが明らかとなった。
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[Publications] H.Takamura: "Direct Observations of β″″-Structure in a K_2O-Fe_2O_3-CdO System by High-Resolution Electron Microscopy" J.Solid State Chem.113. 41-45 (1994)
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[Publications] H.Takamura: "Enhancement of Magnetization Intensity inna-and K-β″-Ferrites by Annealing in Chalcogen Atmosphere" Mater.Trans.,JIM. 35. 384-388 (1994)
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[Publications] 高村 仁: "水和処理したβ″,β″′-フェライトの磁気的性質" 日本応用磁気学会誌. 19(in press). (1995)