1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750762
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡野 泰則 静岡大学, 工学部, 助教授 (90204007)
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Keywords | 結晶成長 / 磁場印加 / 化合物半導体 / 拡散係数 / 流動 / 偏折 / 物質移動 |
Research Abstract |
半導体融液内の拡散係数を正確に測定することを目的として、従来の半導体結晶成長に用いられる数十倍の強度の磁場が印加可能なGradient freezing方式の結晶成長装置を作製した。本装置を用い、8テスラの磁場を印加しながらTe添加のInSbを作製し、SIMSにより結晶内のTeの成長方向濃度分布を測定することにより融液内拡散係数を算出した。 最初に、高精度な結晶内濃度を測定するために、グレイン等の無い、単結晶を作製するための条件を探索した。結晶成長速度が10mm/hの時には、作製した結晶は細かなグレインを多数含む多結晶であったが、成長速度が5mm/hの時には双晶も無い、単結晶が作製することができた。融液内の温度振動も測定したところ、磁場の有無に関わらず、温度振動は測定されなかった。これは、Gradient freezing方式では、上方より下方の方が温度が低くいため、自然対流が起こりにくいこと、また今回用いたるつぼの直径が9mmと小さいこと、などにより融液内での対流は磁場を印加していなくとも小さく、温度振動を引き起こすほどではないためである。しかしながら、結晶内のTeの成長軸方向の分布を調べると、磁場を印加していない場合とした場合とでは大きな変化が見られた。磁場を印加しない場合には、偏析の影響が現われ、成長軸方向対しTe濃度が上昇した。これに対し、8テスラの磁場を印加した場合には成長軸方向に対するTeの濃度分布は均一となった。これらの結果より、温度振動を引き起こすような乱流は無いものの、磁場を印加しない場合には融液内で層流が発生し、磁場により完全にその層流が止められていることがわかった。そこで強磁場を印加して作製した結晶内のTeの濃度より、拡散係数を算出したところ、5×10^<-5>cm^2/sとなり、従来報告されている価とほぼ一致した。以上のことにより、本研究で作製した結晶作製システムは、融液内不純物拡散係数の測定、及び均一結晶の作製に極めて有効であると結論できる。
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[Publications] J.Kang,Y.Okano他2名: "Influence of a high vertical magnetic field on Te dopant segragation in InSb grown by the vertical gradient freeze method" J.Crystal Growth. 140. 435-438 (1994)
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[Publications] Y.Okano,K.Hoshikawa他1名: "Crystal growth of Te/InSb under strong vertical magnetic fields by the vertical gradient freezing method" Proc.of the 1st.MAGNETO-ELECTUONICS interral.sympo.497-500 (1994)