1994 Fiscal Year Annual Research Report
CVDプロセスとエッチングプロセスの反応工学的比較考察
Project/Area Number |
06750789
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
霜垣 幸浩 東京大学, 工学部, 講師 (60192613)
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Keywords | プラズマCVD / エッチング / シリコン酸化膜 / ステップカバレッジ / 低誘電率 |
Research Abstract |
本研究ではプラズマCVDプロセスとエッチングプロセスの関連について反応工学的に検討することを目標とした。具体的には、SiH_4とN_2OからSiO_2薄膜を生成する系において、CF_4を混在させ、CVD反応にエッチング反応を取り込み、プロセスを制御することを試みた。 まず、標準的な条件として、全圧1.0Torr,基板温度250℃,RFパワー:30Wにおいて、SiH_4:1.0sccm,N_2O:100sccm,Ar:100sccmに設定し、SiO_2薄膜を形成した。このとき、リソグラフィによりパタ-ニングして形成したミクロンサイズのトレンチ基板にも薄膜を形成し、ステップカバレッジの観測を行ったところ、アスペクト比2.0のトレンチにおいて溝の底部と入口部分の膜厚比(ステップカバレッジ)は10%となった。この値は通常報告されているものとほぼ同等である。ここで、SiO_2をエッチングする作用のあるCF_4を添加することを試みた。具体的には、ガスの全流量およびSiH_4流量は固定のまま、CF_4を添加した分だけAr供給流量を減少させた。その結果、CF_4ガスの濃度の増加に伴って、製膜速度は減少し、ステップカバレッジは向上した。CF_4:100sccmのときには、ステップカバレッジはほぼ100%であった。さらにCF_4が過剰となる条件において製膜を試みても、ステップカバレッジは100%であった。エッチングが進行していれば、表面層のみ選択的にエッチングされる結果として、ステップカバレッジが100%以上になることも予想されるが、RFパワー:30Wの条件では100%に留まっていることから、本実験条件では、CVD反応は起こるがエッチング反応はさほど顕著ではないことが分る。しかし、RFパワーを100W程度に増加させると全く膜形成が起こらず、基板シリコンがエッチングされることも分った。従って、CVDとエッチングが共存するような領域もあることが、明らかとなり、今後さらなる検討を行うこととした。 一方、CF_4に由来するフッ素の膜中への取り込み状況についても分析を行った。XPSにより、評価を行ったところ、最大で20%のフッ素含有量を確認した。フッ素が酸化膜中に含有されると薄膜の誘電率が減少することが報告されている。また、酸化物薄膜の誘電率はデバイス高速化に際し、RC時定数に代表される信号伝達遅延を引き起こすため、なるべく誘電率の低い材料を用いる必要がある。そこで、ここで得られたSiO_2薄膜の誘電率を評価したところ、フッ素含有量の増大に伴って、誘電率は低下していることが分った。 結論として、CF_4を反応系に添加することによってSiO_2薄膜のステップカバレッジの改善,誘電率の低下を達成することができた。これらの結果は、来たる1995年3月に開催される応用物理学会にて口頭発表を行う予定である。
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