1994 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ポリマーのモルフォロジー変化に基づくナノ構造制御とその汎用的分離膜への適用
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06750794
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松山 秀人 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (50181798)
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Keywords | 導電性ポリマー / ポリピロール / 膜分離 / 二酸化炭素 / ド-ピング / サイズ選択性 / p-トルエンスルホン酸ナトリウム / スイッチング膜 |
Research Abstract |
セラミック多孔膜(材質Al_2O_3,孔径0.1μm)上にピロールをFe(ClO_4)_3を用いて化学酸化することにより,膜上層にポリピロールが堆積した複合膜を得た。重合物は元素分析およびIR測定によりポリピロールと同定した。またSEM観察によりポリピロール層は約20μm程度であることがわかった。 原料ガスとしてCO_2/CH_4混合ガスを用いて,ポリピロール膜によるガス分離を検討した結果,CO_2/CH_4の選択性が約200という極端に高い値が得られた。通常の高分子において選択性が100を越えるものは皆無であることからも,得られた値は非常に高い値と言える。ポリピロールはほとんど溶解する溶媒がないと言うほど剛直なポリマーであるため,顕著なサイズ選択性が表れたものと考えられる。また,CO_2,CH_4とも透過速度は原料側分圧に依存しておらず,このことはガスは膜中を溶解拡散機構により透過していることを示している。さらに,原料ガスとして数種のガス(He,CO_2,CH_4,C_2H_4)を用いた結果,透過速度はガスの動力学径が減少するほど高い値を示した。この様な傾向は,やはり剛直なポリマーの特徴である。 また,NaBH_4により還元,Fe(ClO_4)_3により酸化という操作を繰り返した膜や,p-トルエンスルホン酸ナトリウムによりド-ピングされたClO_4-イオンをイオン交換し,さらにNaClO_4でイオンを交換を行うという操作を繰り返した膜について透過速度の変化を検討した。CO_2の透過速度はサイクル的に還元状態で増加,酸化状態で減少した。また,p-トルエンスルホン酸イオンの導入により減少,過塩素酸イオンの導入により増加という変化がサイクル的に起こった。このことはスイッチング膜としての機能を示唆するものである。
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