1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750809
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹口 竜弥 京都大学, 工学部, 助手 (30227011)
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Keywords | 地球温暖化 / 二酸化炭素 / エタノール合成 / 鉄系触媒 / 銅-亜鉛系触媒 / 複合機能触媒 |
Research Abstract |
地球温暖化の主な原因と考えられる二酸化炭素の蓄積を緩和するための触媒化学的方法は、処理速度が他の生化学的,光化学的方法に比べてはるかに速やかであるので、化石燃料の燃焼速度に見合う方法としてもっとも有望視されているが、二酸化炭素の還元に要する水素の量が膨大である上、高価につくことが最大の難点となっている。しかし、水素をいかに安価かつ高速で合成するかという問題とは別に、生成物の価値が高い場合は、水素の価格を補償する可能性もある。とくにエタノールの合成はこれに当たる。合成ガスからエタノールを合成する研究は、Mo系,Ir系,Ru系などが知られているが、これらを二酸化炭素の水素化に用いてもエタノールは実効的な反応速度では得られないので、新しい発想に基づく新しい触媒の開発が必要である。本研究では、安価な触媒原料を複合化させて高活性を得ることを前提として、炭素-炭素結合を促進させるための鉄系フィッシャートロプシュ合成触媒型成分(鉄-銅-アルミニウム-カリウム)とアルコール基生成を促進させるための銅-亜鉛系メタノール合成触媒成分(銅-亜鉛-アルミニウム-カリウム)とを物理的に混合して組み合わせた上、比較的過酷な条件で水素還元と水素気流中での熱処理を行い、両触媒成分の接触と結合を強めた。この触媒によれば、80気圧,330℃,ガス空間速度毎時5000の条件で、エタノールの空時収量(触媒1リットル,1時間当りの生成エタノールのグラム数)141,選択率12%の成績が得られた。この空時収量の値は、エチレンの水和反応で合成する既往の工業的なエタノール合成の速度に匹敵する水準であり、上に述べたようなような触媒機能の複合化が極めて有効であって、さらに改善可能なことを強く示唆している。
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[Publications] Tomoyuki Inui: "Highly Active Catalyst for Syngas Production from Natural Gas and Its Consecutive Conversion to Methanol and More Valuable Hydrocarbons" Stud.Surf.Sci.Catal.81. 361-366 (1994)
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[Publications] Tomoyuki Inui: "Technology of Carbon Dioxide Conversion Using Catalysts" Trans.Mat.Res.Soc.Jpn.18A. 345-348 (1994)