1994 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガスの水素化反応による低級アルコール合成用触媒の設計
Project/Area Number |
06750813
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長田 秀夫 九州大学, 工学部, 助手 (70221463)
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Keywords | 炭酸ガスの水素化反応 / 低級アルコール合成 / Ir-Mo系触媒 / スピルオーバー |
Research Abstract |
一酸化炭素の水素化反応によりC_2〜C_4アルコール(低級アルコール)類を合成するIr-Mo系触媒を炭酸ガスの水素化反応に用いて低級アルコールの合成を試みた。Ir単独およびMo単独触媒では低級アルコールの生成は認められなかったが、両者を共存させたIr-Mo系触媒では低級アルコールの生成が認められた。Ir-Mo系触媒は金属の担持順序を変化させると炭酸ガスの転化率は変化するが低級アルコール選択率はほとんど変化しなかった。また、Ir単独触媒とMo単独触媒を物理的に混合した触媒を用いて炭酸ガスの水素化反応を行ったところ、Ir-Mo系触媒に比べその選択率は低かったものの低級アルコールの生成が認められた。Ir単独触媒,Mo単独触媒,およびIr-Mo系触媒の水素還元後の各成分の存在状態を調べるためX線回折測定を行ったところ、Irはいずれの場合でも金属の状態であったが、MoについてはMo単独では金属にまで還元されずMoO_2であったがIrが共存したIr-Mo系触媒では担持順序によらずMoは金属にまで還元されていることがわかった。Ir単独触媒およびMo単独触媒を物理的に混合した触媒においてもMoが金属にまで還元されていることがわかった。このことから、Moの還元はIr金属上に吸着した活性な水素原子がスピルオーバーにより供給されたために起こったものと考えられる。さらに、Mo/Ir原子比を変化させるとその比が約0.3で炭酸ガスの転化率は最大となったが、低級アルコールの選択率はMo/Ir原子比によらずほぼ一定の値となった。これらの全ての反応結果はIr-Mo系触媒による一酸化炭素の水素化反応の結果と類似しており、炭酸ガスの水素化反応と一酸化炭素の水素化反応の活性種が同一であることが推察される。
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