1994 Fiscal Year Annual Research Report
特異機能を保持するヒト及びラット肝細胞を用いた毒物応答の種間差異に関する研究
Project/Area Number |
06750820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00235128)
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Keywords | 毒物応答 / 種差 / ラット肝細胞 / ヒト肝細胞 / アルブミン分泌 / 重金属蓄積量 |
Research Abstract |
培養系については,膜上サンッドイッチコラーゲンゲル培養は,増殖性の低いラット初代培養肝細胞については非常に効果的で,ホルモン無添加でも1ヶ月程度は機能が保持されることが示された(Biotechnol.Techniques誌に掲載).ラット肝臓ガン由来細胞は検討した培養条件下では,長期培養が不可能であった.ヒト肝臓ガン由来細胞株は,通常の単層培養で増殖飽和のまま安定に保持されが,コラーゲンゲル培養では増殖が激しく細胞死を招いた.以上共通に使用できる培養系は残念ながら設定できなかったため,初代培養ラット肝細胞については膜上サンドイッチコラーゲンゲル培養を,ヒト肝臓ガン由来細胞については単層培養を用いることとした. これに先立ち,取り扱いの容易なチャイニーズハムスター細胞株CHO-K1を用いて,重金属蓄積と毒性の発現を速度論的に検討した.急性毒性については,培養1-2日目の初期平衡蓄積量とその後の増殖挙動が高い相関を持つことが判明した(ヨーロッパ動物細胞工学会/日本動物細胞工学会合同大会にて発表,プロシ-ディングズ印刷中).実際に細胞内に取り込まれた毒物量に着目することにより,多成分系での毒性予測がある程度可能となるとの見通しを得た. 実際に,ラット初代培養肝細胞とヒト肝臓ガン細胞について,単成分重金属を4週間にわたり投与すると,短期間に影響の出る重金属添加濃度より最大一桁小さな投与濃度で,4週間後には細胞維持・アルブミン分泌能でみた毒性が発現した.この間,細胞内重金属蓄積量は徐々に増加したが,単純に蓄積量あたりの毒性発現だけでは長期毒性は評価できないことが示された.またラットとヒトの肝細胞の間には,顕著な応答の違いは残念ながら見られなかった.今後,暴露時間の経過に伴い,細胞側の防御機構が発現することを考慮する必要があるであろう.
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[Publications] Y.SAKAI,M.KOIBUCHI,A.SAKODA and M.SUZUKI: "Growth inhibition and heavy metal accumulation in CHO cells" Proc,of ESACT/JAACT Meeting,Veldhoven,The Netherlands,1994. (印刷中). (1995)
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[Publications] K.ICHIKAWA,Y.SAKAI,A.SAKODA and M.SUZUKI: "Primary culture of rat hepatocytes using membrane-supported collagen sandwich with hormone-free medium" Biotechnology Technigues. 8. 385-388 (1994)